☆男ありて

☆男ありて 10/11 高槻松竹セントラル(特集上映人生名画劇場)
★★★
→日本で最も人気のあるスポーツと言えばやはりプロ野球だと思うのだが、その割にはプロ野球を題材にした映画は少ない。そして名作もほとんどない。「ミスター・ルーキー」がややマシというレベルなので推して知るべし。本作では志村喬演じるプロ野球チームの監督とのその家族を描いたホームドラマなのでプロ野球ものとは少し違うのかもしれないが、まあプロ野球を題材にした映画の中では名作である。家のことは奥さんに任せきりで仕事のことしか頭にないお父さんとそのお父さんを献身的に支える奥さん、そして「もっとお父さんはお母さんを大切にするべきだわ」と訴える娘という設定は日本のよくある家庭を模写したもので親近感が持ちやすい。そこに下宿するのが血気盛んな若い野球選手。これが藤木悠である。うへえ。4番を打つのが三船敏郎ってのもすごい。頑固親父役の志村喬のどっしりとした感じが印象深い。菊島隆三が脚本を書いてるだけあって、登場人物を丁寧に書き分けて、展開がコロコロと変わる面白いストーリーになっている。見事。ただラストで志村喬が○○をやるというのはいくらなんでもと思うが、まあご愛嬌。志村喬という俳優の持ち味を最高に生かした作品。藤木悠も飄々とした感じでファンにはご馳走。

男ありて―志村喬の世界

男ありて―志村喬の世界