☆巨人伝

☆巨人伝 10/10 高槻松竹セントラル(特集上映人生名画劇場)
★★
伊丹十三のお父さんで日本映画随一の知性派と呼ばれた伊丹万作監督の遺作。この人の作品はほとんど現存しておらず、今日では評価も難しい。1938年に撮った作品が最後で1946年に46歳の若さで没しています。本作は「レ・ミゼラブル」の映画化で舞台を日本に時代を幕末から明治初期までの混乱期にしています。「レ・ミゼラブル」のテーマは言わば贖罪なのでそこをうまく換骨堕胎してドラマの軸を作っています。ラストに西南戦争を入れるなど時代性をうまく取り入れて映画の背景に深みを加えている手法はうまい。主演は伊藤大輔とのコンビで日本映画に革命を起こした大河内傳次郎。島送りになったヤクザから町の名士までと波乱万丈の人生を生きる主人公を力強く演じている。後年、京都駅にて倒れた時に自分が誰かわからないように顔をハンカチでとっさに隠したという逸話が残っています。晩年まで映画俳優としての自負を抱いた俳優さんでした。

レ・ミゼラブル〈上〉 (岩波少年文庫)

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レ・ミゼラブル〈下〉 (岩波少年文庫)

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丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]

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