2007年上半期キネマの星座ベスト

tetorapot2007-07-01


今日から7月。相変わらず、梅雨で鬱陶しい感じですが皆様、お元気でしょうか。私は煩悩に悩まされながら、今日もまた映画を見ています。。ウソツキ!緒川たまき風)

今年は6月末の時点で63本。世間的に見ればこれでも多いんですが、昨年の77本に比べると14本のダウン。月平均で2本ほど見る本数が減ってるわけです。確かに今年の上半期は色々あったんですよ。5月、6月は仕事忙しかったし、実家の引越しもありましたしね。2月はずっと体調崩してましたしね。。

ただ、それでも映画館で2時間ほど時間つぶす暇なんていくらでもあったわけで、それをやらなかったのはやはり映画に対する情熱、愛がやや下り坂になったのかなあ。。凝り性の飽き性ですからね。じゃあ、何に熱中しとんねん、と言うと特にはないんですけどね。舞台、落語は昨年よりも見る回数増えましたがフリークにはほど遠い。手遊びに始めたウクレレもまだまだ。。久しぶりに歴史小説の面白さに目覚め、海音寺潮五郎先生の本を読みふけったり、また中学生の頃に熱中した新ソード・ワールドRPGリプレイ集にもハマったり、デジタルオーディオ買ったんで、音楽を聴く機会が増えて片っ端からいろんなアーティストのCDをレンタルして来たり、、とまあいろんなことやってます。なんてことはない、ネズミ(公安のスパイじゃない)のようにあっちちょっと齧り、こっちちょっと齧りの毎日。これもまあ余裕がある証拠なんでしょう。

今年はブログの更新もすっかり滞ってます。昨年の感想は一年以上遅れになっており、ほぼ諦めました。まずは最近見た映画の感想を書いていきます。それから今年は4年ぶりに湯布院映画祭に参加する予定です。やはり日本映画ファンを自負する私にとってこの映画祭は、外せないですな。なんかシンポジウムとかパーティーが苦手なんですけどねー。友人と参加する予定にございます。宿も取りました。

前置きが長くなりましたが、今年も上半期のベスト、というか気になった作品を挙げていきたいと思います。一応、順位付けはしてますが、暫定ということで。

外国映画

 1 リトル・ミス・サンシャイン
 2 ブラックブック
 3 ドリームガールズ
 4 プレステージ
 5 善き人のためのソナタ 
 6 絶対の愛 
 7 クイーン
 8 主人公は僕だった 
 9 「300」(スリーハンドレッド) 
10 ゾディアック 

1位は「リトル・ミス・サンシャイン」。駄目な人というか、どこか情熱を注ぐものを間違ったまま、突っ走った家族のロードムービー。様々なハプニングが連続して起こり、最後まで気が抜けない。想像できないラストにも大爆笑し、そして少し涙した。繰り返し見れば見るほど映画にこめられたメッセージを感じられる味わい深い作品になっている。本来ならこれがアカデミー作品賞やろ。「ブラックブック」はナチス占領下のオランダにおいてレジスタンスに協力する女性を描いた映画であるが、善も悪も社会性も泣かせも全部蹴飛ばして、「にっぽん昆虫記」ばりに時代に翻弄されてもがいた女性を描き出している。サスペンス風味を帯びる後半から、映画のテンポが変わり、ラストまで一気に畳み掛けるように主人公の運命が転がっていく。ここが好き。「ドリームガールズ」はナンバーが抜群によい。ステージとミュージカルシーンが徐々に混じって、心地よく楽しめた。アカデミー助演女優賞ジェニファー・ハドソンの歌声に惚れ惚れ。「プレステージ」は二人の奇術師による、シャレにならんほどの確執が全編通じて描かれるが、全てが伏線になり、ラストで度肝を抜かれた。ヒュー・ジャックマンの存在感が素晴らしい。「善き人のためのソナタ」は非常にシンプルなドラマを時間をかけて丁寧に描いていることに好感が持てた。ドイツ映画の躍進振りに胸が躍る。韓国映画に対する興味が急激に落ちているがキム・ギドクは別格。観客の心にキリを打ち込むほどの痛さを持った「絶対の愛」は見逃せない。いくら待ってもフレディは出てこないが、ダイアナが死んだ日から数日の女王陛下の生活を描いた「クイーン」、小説の主人公が実在していたという設定を最大限に膨らませた工夫作「主人公は僕だった」、古代のスパルタを劇画的に描き、男のドラマを見せてくれた「「300」(スリーハンドレッド」、現実に起こった殺人事件を巡る人々のドラマを克明に描いた「ゾディアック」もよかった。今年の上半期は傑作が多かったように思う。 

外国映画鑑賞作品(24本)

●アンノウン 1/5 京都シネマ
リトル・ミス・サンシャイン 1/12 京都シネマ
あるいは裏切りという名の犬 1/14 みなみ会館
ディパーテッド 1/21 TOHOシネマズ高槻スクリーン4
ドリームガールズ 3/1 MOVIX京都シアター10
リトル・ミス・サンシャイン 3/9 京都シネマ3(2回目)
●ボビー 3/15 TOHOシネマズ二条スクリーン2
ピンチクリフ・グランプリ 3/24 みなみ会館
▲オーロラ 3/25 大津京町滋賀会館シネマホール
ラストキング・オブ・スコットランド 4/2 TOHOシネマズ二条スクリーン4
●オール・ザ・キングスメン 4/7 TOHOシネマズ高槻スクリーン7
▲ブラックブック 4/8 京都シネマ
ブラッド・ダイヤモンド 4/14 MOVIX京都シアター1
●クイーン 4/29 TOHOシネマズ高槻スクリーン3
ロッキー・ザ・ファイナル 4/29 TOHOシネマズ高槻 プレミアスクリーン
スパイダーマン3 5/5 TOHOシネマズ高槻スクリーン2
●バベル 5/5 TOHOシネマズ高槻スクリーン3
ザ・シューター 極大射程 6/3 TOHOシネマズ高槻スクリーン7
●主人公は僕だった 6/7 TOHOシネマズ二条 プレミアスクリーン
■絶対の愛 6/10 第七藝術劇場
プレステージ 6/10 TOHOシネマズ高槻スクリーン7
「300」(スリーハンドレッド) 6/17 TOHOシネマズ高槻スクリーン1
ダイ・ハード4.0  6/23 TOHOシネマズ高槻スクリーン2
●ゾディアック 6/23 TOHOシネマズ高槻スクリーン4
善き人のためのソナタ 6/26 大津京町滋賀会館シネマホール


日本映画

 1 しゃべれども しゃべれども
 2 キサラギ
 3 サイドカーに犬 
 4 松ヶ根乱射事件 
 5 ユメ十夜 
 6 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 
 7 それでもボクはやってない 
 8 秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜 
 9 魂萌え! 
10 神童 

今年の上半期はくだらない映画ばかりだったが、それでも何個かはいい作品があった。「しゃべれども しゃべれども」は登場人物の心の動きを丁寧に描いた、味わい深い佳作であった。出来栄えは完璧でないが、心に深く残った作品。出来栄えで言うと「キサラギ」の完成度は素晴らしかった。きっちりと脚本組み立ててイメージ通りのキャストを集めるとここまで面白い映画が作れるのだ。5人の男たちの立場が短時間にコロコロ変わっていき、真相が玉ねぎの皮をむくようにゆっくりと明かされていく。。この過程が楽しくてたまらんかった。受けの芝居に回った小栗旬の演技がよい。竹内結子の代表作になるであろう「サイドカーに犬」もよかった。母がいなくなった少女のひと夏の物語。それは少女の今後に大きな影響を与えた。客観的に見れば、親父の愛人だったヨーコさん。母が教えてくれないことをたくさん教えてくれた人。舞台が80年代で時代の風物詩が多数出てくるのも、その年代を子供として生きた私には懐かしく感じた。竹内結子もいいが、子役の松本花奈ちゃんがとろけるように可愛い。今村昌平の映画をもっとライトに描いたような「松ケ根乱射事件」も好きだ。出てくる人物がろくでもない人ばかりで厭になるが、どこか憎めない。あとは、10人の映画監督によるオムニバス作品「ユメ十夜」は各自が好き勝手やってる作品だが、単純に面白かった。松尾スズキと山口雄大のすっ飛ばし具合が素敵で気分よく、エロエロにゲロゲロに酔えた。ちゃらけた雰囲気とは裏腹にきっちりタイムマシンものになってた「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」、裁判という重い題材を使いながらも社会性の色をうっすら残しながらも娯楽作品に仕上がった「それでもボクはやってない」、フラッシュアニメのスプラッタ性を生かした遊び作品「秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜」、夫を失った女性の少し不思議な冒険をスクリューボールコメディ風味に仕上げた「魂萌え!」、成海璃子の姿がまぶしい「神童」を褒めたい。

日本映画鑑賞作品(19本)

鉄コン筋クリート 1/17 MOVIX京都シアター6
それでもボクはやってない 1/20 TOHOシネマズ高槻スクリーン8
長い散歩 1/25 京都シネマ
フラガール 1/26 大津京町滋賀会館シネマホール
魂萌え! 2/18 京都シネマ
バブルへGO! タイムマシンはドラム式 3/14 TOHOシネマズ二条スクリーン1
松ヶ根乱射事件 3/21 京都シネマ
ユメ十夜 4/13 大津京町滋賀会館シネマホール
アルゼンチンババア 4/14 MOVIX京都シアター9
東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン 4/22 MOVIX京都シアター9
★神童 5/6 みなみ会館
歌謡曲だよ、人生は 5/26 テアトル梅田2
秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜 5/26 TOHOシネマズ高槻スクリーン6
大日本人 6/3 TOHOシネマズ高槻スクリーン3
しゃべれども しゃべれども 6/8 MOVIX京都シアター2
舞妓Haaaan!!!   6/17 TOHOシネマズ高槻スクリーン2
キサラギ 6/26 京都シネマ
★パッチギ LOVE&PEACE 6/28 京都シネマ
サイドカーに犬 6/30 シネ・リーブル梅田シアター2

ワースト

1 アルゼンチンババア
2 長い散歩 
3 ラストキング・オブ・スコットランド
4 舞妓Haaaan!!!   
5 ボビー

アルゼンチンババア」は豪華キャストを集めた時点で終わりになったような作品で今の日本映画を象徴するような作品。安易に観客に感動を押し付けようとする展開に吐き気がした。金返せ。この監督に次があっては、日本映画界もお先真っ暗だ。真面目な映画だが視点が少しずれてるように感じたのは「長い散歩」。主人公の行動が理解できん。「ラストキング・オブ・スコットランド」はフォレスト・ウィテカーの演技がいいだけの映画でスタッフがだらしなさ過ぎる。「舞妓Haaaan!!!」は感じるものが何もなかった。感動の押し付けも鬱陶しいが、少しは何か持って帰れるものがないと映画館に足を運ぶ意味がない。「ボビー」はキャストが多すぎるし、ラストはもっとシンプルに収めるべきだろう。5本とも単純に出来の悪い映画である。

 リバイバルで見たのは16本。昨年に比べると激減である。上半期は仕事帰りに映画を見に行く幸福から遠く離れた日々であった。。いや仕事だけではなくて、いろいろあったんですけど、、と小声でぼそりと言っておく。7月以降は仕事もですが、いろんなものがなくなりまして暇になりましたので、もっと見れると思います。

青い鳥逃げました! やはり私の伴侶は映画だけです!

コホン。。。えー、、今年も高槻松竹セントラル任せの旧作ライフでございますね。名前が高槻ロコ9シネマプラスに変わりますが、相変わらず頑張って欲しいもんです。おばはん、たよりにしてまっせ。(おばはんに他意なし)

旧作はほとんど感想が書けてないんですが。。仲代達矢の飄々としたミステリアスさを生かした「」、船越英二のパパぶりが板につきすぎな「私は二歳」、生活に潜む、ひりひりするような心の闇をスリリングに描き出した成瀬巳喜男の「女の中にいる他人」、若き日の桂米朝も登場する、坂田藤十郎はんの父子共演作品「女殺し油地獄」あたりが印象に残った。「独立愚連隊」シリーズは幾度も見てるが何度見ても面白いな。改めて中谷一郎っていい俳優なんだと思った。風車の弥七だけで語られるのは非常にもったいなし。

日本映画リバイバル上映鑑賞作品(16本)

女の中にいる他人 1/27 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆妻二人 1/27 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆鍵 1/29 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆卍 1/29 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆暴走パニック 大激突 2/1 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆資金源強奪 2/1 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆殺人狂時代 2/15 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
☆100発100中 2/15 高槻松竹セントラル(サスペンス傑作選3)
女殺し油地獄 3/13 高槻松竹セントラル(女性映画傑作選13)
心中天網島 3/13 高槻松竹セントラル(女性映画傑作選13)
☆あいつと私 3/25 大津京町滋賀会館シネマホール(石坂洋次郎原作、日活青春名作選)
☆私は二歳 4/1 京都文化博物館映像ホール 
☆牛乳屋フランキー 5/17 高槻松竹セントラル 特集上映異色喜劇傑作選
☆喜劇 とんかつ一代 5/17 高槻松竹セントラル 特集上映異色喜劇傑作選
☆独立愚連隊 5/21 高槻松竹セントラル 特集上映異色喜劇傑作選
☆独立愚連隊 西へ 5/21 高槻松竹セントラル 特集上映異色喜劇傑作選

外国映画リバイバル上映鑑賞作品(3本)

ブロークバック・マウンテン 3/24 京都シネマ2(京都シネマ2006ベスト10アンコール上映)
華氏911 3/26 動物園前シネフェスタ4(Screen1)シネフェスタ最後の24本
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 3/26 動物園前シネフェスタ4(Screen2)シネフェスタ最後の24本