THE 有頂天ホテル 2006年 フジテレビ 東宝

THE 有頂天ホテル 1/26 TOHOシネマズ高槻スクリーン2
★★
三谷幸喜監督作品。彼のドラマや映画はまあそんなに大きな外れはないし、本作も割りと楽しめた。ただ、この題材なら1時間40分で充分であろう。正直、2時間16分はつらい。

 三谷幸喜は少ないキャストをぶつかり合わせた会話劇でストーリーを進めていく脚本家であると思ったが本作では23人のキャストを使っての群像劇。こいついらんのじゃないか、と思ったのも無いこともないが、イライラするほど邪魔にはなっておらん。ただ一人、川平慈英を除いては。なんでこいつにやらせるか。こんなんいらん、帰れ。起承転結の「転」の部分が秀逸でそれまで精彩を欠いていた佐藤浩市松たか子がぐぐっとせり上がった感じでやっと何を語りたかったのが見えてくる。

 ただそっからラストまでの足取りがもうバテバテでしんどいがラストをきっちりまとめる手法はズルささえ感じるほど秀逸でお見事。キャストでは前述の実質主役である二人と自分の役割をしっかり飲み込んできっちりと脇に徹した、堀内敬子生瀬勝久梶原善近藤芳正が秀逸。特に堀内敬子が可愛らしかった。あの台詞回しで他の映画出られたら困るが本作ではぴったりである。

 ただ、役所広司原田美枝子がどうにもまずい。(この人は「OUT」以降、まずい演技ばかりだ)特に役所広司のキャラクターはひどい。あれではどう演じていいか、役所もさっぱりわからんかったのではないか。オダギリジョーが今までに無い役でひっそりと出演しているのも見物。大体、日本の俳優は同じような役柄で満足して、同じ演技を金太郎飴のように繰り返すことでよしとする、志の低い方が大勢いらっしゃるので(渡部篤郎永瀬正敏妻夫木聡がそうだ)いろんな役柄に挑戦するのは頼もしい。がんばってください。(田原総一朗の口調で)

 全体としては言いたいこともいっぱいあるのだが、何も日本映画は三谷が全て背負っているわけではなくて、三谷も映画よりも舞台やドラマが好きそうなのでこれはこれでオッケーだと思います。三谷が1年に1本の割合で撮り出したら、少し心配なところはあると思いますが。

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