スタンドアップ 

スタンドアップ 1/21 MOVIX京都シアター2
★★★
→「モンスター」で女優開眼のシャーリーズ・セロンの主演作品。「モンスター」に引き続いて今度も女性監督と組んでいる。監督は「クジラの島の少女」のニキ・カーロ。今度のシャリーズ・セロンは無理な体重増強もブスメイクもせずに炭鉱で働く女性を演じている。セレブをやらなくてもこの人は普段着でも充分に可愛いね。働く時はヘルメットに作業着で普段はジーパンにジャンパーなんだが、ため息が出るほどに綺麗。

 さてさて内容だが、ストーリーは鉱山で実際に起こった事件をモデルにしている。暴力を振るう旦那に耐えかねてシャリーズ・セロンは幼い子どもを連れて実家に帰ってくる。田舎のことである。離婚して帰ってきたというだけで周囲の視線を冷たい。両親も歓迎はしてくれなかった。彼女は誰にも頼らず、子どもを育てることを決意し、給料の高い鉱山の仕事に就く。しかし、仕事は楽なものではなかった。それは肉体的につらいというだけではなく、男の職場に女性が入り込んできたことに対する露骨な嫌悪感をむき出す男の同僚の嫌がらせの数々であった。彼女は敢然と立ち向かうが窮地に陥れられた。。

 法律的にどれだけ保障されていようと現実は全く違う。そうした困難に立ち向かうのには自分で立ち上がらなくてはダメだ。日本語の題名になった「スタンド・アップ」はなかなかよくつけたと言えます。彼女と対立することになる同僚も決して悪人ではない。鉱山で働くほかない街において親父も兄貴も鉱山で働いてきた。その仕事を女性を奪おうとしている。それに対する焦りからこうした事件は起こったのです。

 映画のスタッフは映画化に際し、「これはセクハラを扱ったドラマではない」と説明しています。そうした鉱山で働く人々の苦悩を映画は生々しく描き出しています。悪と正義という単純な構図になっていないのがこの映画の深さであろう。セロンの仲間であるフランシス・マクドーマンドも諸手を挙げて彼女に味方をしていたわけではなかった。彼女は事を荒げることなく、組合に参加し、組合を通して様々な待遇改善、女性をトイレに時間がかかるのだから休憩時間を増やすべきだ、を行っていたのだ。こうしたキャラクターの描き方もリアルでよかったと思う。アイスホッケーの選手出身の弁護士を演じたウディ・ハレルソンも終盤近くに語気鋭く迫る場面が印象的であった。この人、随分久しぶりに映画で見たわ。

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