☆動くな、死ね、甦れ!

☆動くな、死ね、甦れ! 1/29 みなみ会館
★★★
→正直、このタイトルから想像したのはゾンビ映画だった。実際にはゾンビは出てこなくてこの題名はロシアの遊びの掛け声なんだそうだ。遊びで「氏ね」とか言うのは少しひいてしまうが。89年に作られた、まだロシアがソ連と言ってた時代の映画です。監督のヴィターリー・カネフスキーはこの映画でカンヌのカメラ・ドール。最優秀新人監督賞を受賞しています。この時、すでに54歳で映画在学中に投獄された経験を持っています。舞台は第二次大戦直後の極東の収容所。スターリンはまだまだ存命で近くの収容所には日本人がぶち込まれています。その田舎町でのワレルカという頭の悪い少年と彼を何かとかばうガリーヤという少女が主人公。ふっと見ると二人はデキてるような気もしますが、ワレルカは本当にドアホでガリーヤは「ほっとけない」という感じでけわしい顔しながらついていっている感じで保護者みたい。イースト菌を使った悪戯が本当にアホでガリーヤがいなければ死んでるだろう。そうしたところは微笑ましいがラストは強烈。モノクロで淡々と描かれるソ連は本当に貧しい。末期のソ連だから発表できたんであってスターリン時代にこんなん撮ったら撮っただけで間違いなく収容所送りで作品はジャンクされてただろう。なお、監督は同じキャストで続編「ひとりで生きる」を撮っています。ガリーヤを演じたディナーラ・ドルカーロワグルジアを舞台にした「やさしい嘘」にも出演していることもユーロスペース常連にはもう常識ですな。

動くな、死ね、甦れ!【字幕版】 [VHS]

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