容疑者 室井慎次
容疑者 室井慎次 9/9 TOHOシネマズ高槻スクリーン7
★★★
→東京の遠景をバックに明朝体で出演者名を紹介するという、まるで10年前の2時間サスペンスドラマのような始まり方をする本作はよく言えば「オーソドックスな手法でしっかりとドラマを見せてくれる」映画であり、悪く言えば「工夫も何も無く、ビデオで見ても充分な」映画でもあると思う。下敷きになっているのは野村芳太郎の「疑惑」だろうが題材を法廷物にしながらも法廷のシーンは変則的にラストでしか使われない。公務員は起訴された時点でなぜかクビになるので、室井を法廷に引っ張り出すのは難しい。この変則的な手法はうまいと思った。リング上の戦いよりもリング外での場外乱闘が映画の中心である。無限回廊のように入り組んでいる人間関係をきっちりと書き分けているストーリー展開はさすがだが、事件自体は極めて単純でラストの迫力のなさには思わず拍子抜けしてしまった。事件よりも室井慎次自身を描くことが中心になってしまい、バランスが少しズレてしまったようなところがある。訴訟パラノイアと呼ばれる偏執狂の弁護士を八嶋智人 が好演。これが見たくて見に行ったようなところもあったんだが、予告編で見せた以外では案外に出番が少なく、がっかりした。そのパートナーを演じた吹越満もよかった。学生運動を引きずっている感じで世の中を斜にかまえている感じが出ている。最近になって映画出演が激増している田中麗奈も好演であるが、デビュー作の「がんばっていきまっしょい」以上にインパクトのある代表作には至っていない。何もこんなんに出なくてもいいのに。。と思う作品への出演も相次いでいる。コメディに挑戦したりホラーに出たりといろんな役柄には挑戦しているが、デビュー作以上の作品にめぐり合っていないのが彼女の不幸でしばらくは苦悩が続くと思う。柳葉敏郎は抑えた演技でおそらく高倉健を意識してるんだろうが、一本調子なのでだんだん飽きてくる。それでも大学時代の彼女についてポツリポツリと語るシーンが秀逸でボロボロと涙をこぼしてしまった。。少し恥ずかしい。河津清三郎のような大仰な悪役を大和田伸也が実に楽しそうに演じていた。ドラマで室井とコンビを組んでいた浜田晃の登場や映画版にチラリと出演していた大杉漣の再登板もファンには嬉しい配慮。
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/08/03
- メディア: 単行本
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
- アーティスト: サントラ,松本晃彦
- 出版社/メーカー: ユニバーサル シグマ
- 発売日: 2005/08/24
- メディア: CD
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (18件) を見る