リンダ リンダ リンダ 

リンダ リンダ リンダ 9/2 みなみ会館
★★★★
→大変評判がよかったので楽しみに見に行ったが本当に面白い作品であった。山下敦弘の映画を全部見ているわけではないが、怠け者のどうしようもない男(しかも善人でもない)の繰り広げる日常に不思議な笑いをぽこぽこほりこんで、ダラダラとさほど思い入れなさげに撮っているのがこの人の映画の特徴だと思う。そのダラダラさが生む不思議なテンポがいつの間にか、癖になって「リアリズムの宿」はすごく面白かった。こうした映画はビデオで見たらだるくなるので、集中できる劇場でしか楽しめない、と思うのは私に集中力がないからか。前置きが長くなったが、その山下敦弘が女子高生を主役でしかも「急ごしらえの女子高生4人組のバンドが文化祭で演奏する。残りは後三日」ってストーリーだけを見ると「ウォーターボーイズ」よりも本格的な青春物じゃありませんか。しかも恋愛も絡むらしいよ。。まあプロの映画監督ならばどんな映画も撮らねばならない。意外に器用なのかもしれない。。と思ったが人間はそうわずかな期間で変わりはしませんな。自己流の切り口で青春時代をうまく切り取っている。活気溢れる文化祭の準備風景を描き出すカメラの視点は、学校外からの視点からでも、高校生を生き生きと描き出すというものでもなくて、クラスの準備になんとなく参加してる高校生である。そんなに浮かれちゃいないのだが、かと言っても嫌々でもなくて割と楽しんでやってる、そんな感じだ。そもそものバンド結成の理由が真っ当な青春ものじゃない。ギターやってる女の子が指を怪我して文化祭に間に合わなくなった。リーダー格のボーカルとキーボードが喧嘩して、ボーカルが抜けてしまう。この状態になっても残りのメンバーは新しいメンバーを補充して全くやったことない曲に挑戦するのだ、あと3日で。ちなみに新しいメンバーはボーカル担当。。。まさに逆境!よく考えるとかなり無理が無いか?「逆境ナイン」じゃないよな?それとももしかしてピアニカ(小学校時)しか楽器持ったこと無い私にはわからんが、よくあることなんか?しかもその子が韓国の留学生だという無茶な設定が加わる。そこまでハードル挙げて大丈夫か?と思うが緊張感がないままにストーリーは進むのだ。泊り込みの練習や好きな人への告白を迷うシーンとかも織り込みながら、見事にラストまで収束していくのだが、114分という時間を全く感じさせない。異性への告白も扱っているんだが切り口が一風変わっている。メリハリのきいた演出でもないんだが独特のテンポが安定していて実に心地よい。韓国人留学生を演じたのはペ・ドゥナ。1979年生まれの彼女は明らかに女子高生には見えないのだが人一倍はしゃいで、大きな目をクリクリと動かすシーンがたまらなく愛らしい。やっぱりこの女優さんは見逃せないな。前田亜季は大人しい等身大の女の子を好演。監督の視点は彼女に一番近いと思う。この子を主役にせずに主役をペ・ドゥナにして、脇にとどまらせたのは監督の成長の証であろう。香椎由宇もこんな演技できるんやねえ。4人の立つポスター、チラシも秀逸。

リンダ リンダ リンダ オフィシャルブック

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リンダリンダリンダ (竹書房文庫)

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