愛についてのキンゼイ・レポート 

愛についてのキンゼイ・レポート 9/2 MOVIX京都シアター7
★★★★
リーアム・ニーソンが主演でそれらしい邦題はついでいるので「また恋愛がどうのこうの。。という映画か。。」とスルーの予定だったのですが蔵六さんのブログを見て興味を感じたので見てきた。いやー面白かった。というかこのええ加減な邦題に惹かれて見に行った奴がどんな顔するんやろと考えただけで笑けてくる。トンデモない映画でございました。私が題をつける担当なら「キンゼイ先生の誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」か「キンゼイ先生の性生活の知恵」「アルフレッド・キンゼイの濡れて打つ」とかつけるな。。採用されへんだろうけど。キンゼイ博士は実在の人物でまだ姦淫罪とかが平気で残ってた40、50年代のアメリカにおいてセックスについての研究を行った学者。これは、その彼の生涯を描いた映画です。時代の中で喝采を受けながらもやがて迫害されて失意にて亡くなるという激動の人生を映画はキンゼイ博士の内面を中心に丁寧に描いている。彼の著作が社会でどう受け入れられ、何故迫害されていったのか、当時のアメリカに吹き荒れたマッカシー旋風とどう関連づけられたのか、という視点からの描き方も面白かったと思うのだが、映画はあくまでもキンゼイ博士に密着してそうした事象を背景として扱っている。ここをもっと切り込んだら面白くなっただろうが散漫な印象になったのかもしれない。とんでもない映画だと描いたのは、セックスについて扱ったという意味ではなく、キンゼイ博士自身である。助手との同性愛、妻と助手のセックスの容認、助手達との乱交パーティー。。そしてラストにキンゼイが何をやったのか。変人過ぎて到底好きになれん。やったことは偉大だと思うけど。ただ主題はすごく真面目。やはり時代に即した映画である。監督は「シカゴ」の脚本を担当したビル・コンドン。監督作の「ゴッド・アンド・モンスター」はアカデミー脚本賞の受賞したが日本ではなぜか公開されなかった。なお彼は自らゲイであることを公言しており、映画には「同性愛は異常」と言い放つキリスト教右翼が席巻する現代のアメリカに対する批判も込められている。日本にも山本宣治という先駆者がいた。一般的に代々木系の闘士として知られる山宣だが日本で始めて科学的にセックスを研究した性教育のパイオニアであったのだ。彼についての本も面白いです。

愛についてのキンゼイ・レポート (竹書房文庫)

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