見沢知廉、飛び降り自殺
見沢知廉の本は大学時代に何冊か読んでいる。初めに読んだのは当時、ハマっていた別冊宝島の「実録!サイコさんからの手紙」と「囚人狂物語」であった。そのときは作家名も覚えてなくて図書館のバイト中にふと読んだ「天皇ごっこ」が初めて見沢知廉という作家を意識した作品であった。これが滅法面白くて「囚人狂時代」「獄の息子は発狂寸前」などを読んだ。最も「GON!」などの連載は読んでなかったし、最近の著書も読んでいないので熱心なファンとは到底言いがたい。ただホームページとかで近況はちょくちょく覗いていて興味は持っていた。「実録!サイコさんからの手紙」はストーカーとの対決で本気で困惑している様子がありありとわかるような名文で久しぶりに読み返して見たら大変に面白かった。あの頃は「こんな奴いてへんやろ」と思ったが今は「さもありなん」で、気の毒にも思った。
長生きできる人ではないな、とは思っていた。長期刑は体が資本であるヤクザでも体を壊してしまうことがままある。長期刑を勤めた親分さんで早く亡くなることは多い。見沢氏は写真どおりの優男で出所後も病院通いが続いたらしい。さらに去年には交通事故にも遭い、心身ともにボロボロであったようだ。
長期(12年と未決やら含め13年にわたった)拘禁の後遺症(プリゾニゼーション、PTSD)で出所10年、無理を重ねて全力疾走し、オーバードーズや骨粗鬆症で転んで足首や尾骨骨折等。次は事故で指複雑骨折で指切断、で初のICU入りと長い入院。
サイトには日記もあるが今年の6月21日で更新が止まっている。その21日の日記には
ここ具合悪く、心をよまれているような、神経過敏で胃炎などで寝込み、
(以下略)
という記述も見える。大変につらかったのだろう。自殺したくなるのもわかるような気がする。また喪主が「獄の息子は発狂寸前」に出てくるお母さんである。人の気持ちは分からないが、母親は一番つらいだろう。胸が苦しくなる。
彼の同志というか、兄貴分の鈴木邦男が宮崎学との書いた「突破者の本音―天皇・転向・歴史・組織」の中で彼の起こしたスパイ処刑事件についての記述がある。(名前はイニシャルになっている)手元に本がないのではっきりとは覚えていないが、すさまじい殺人事件でゾクリとした。相当に激しい人だったのだろう。どうぞ安らかにお眠りください。合掌。
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