十三人の刺客

十三人の刺客 9/21 祇園会館(京都映画祭)
★★★
→時代劇から任侠映画への移行期に撮られた集団時代劇の代表作。監督は工藤栄一。スターを如何にかっこよく撮るかということを念頭においた、従来の時代劇よりも敵を討ち取るまでの過程に重点をおいた群像劇になっている。ラストの両群入り混じっての死闘よりも千恵蔵率いる刺客集団と敵方の参謀、内田良平との水面下でのやり取りに重点がおかれている。ラストの死闘も見ごたえがあるのだが、長いので疲れてしまう。で、やっぱりクライマックスは千恵蔵のチャンバラシーンになってしまうわけだけど。剣の道に生きる西村晃の死にっぷりが見事で彼の代表作と言っても過言ではない。片岡千恵蔵も抑えた演技で渋い。当初、この役は市川右太衛門だったらしいが「この作品は名作になる。そうした作品は絶対に下りたくない」と断った話もある。時代劇の衰退を何よりも感じていたのはこの人だったのだ。