大日本人

tetorapot2007-07-09


大日本人 6/3 TOHOシネマズ高槻スクリーン3
★★★
→カンヌの上映(夜10時から)で観客がぞろぞろ帰ったとか評論家が「題材は面白いが、彼はもっと編集を勉強するべきだ。向いてないのではないか」(どうして編集が下手なら監督に向いてないと言い切れるんや?)との酷評が多い作品だったので、期待値を下げて見に行ったが、普通に面白い作品であった。ただ1時間53分は少し長すぎると思う。前述の評論家じゃないが、もっと編集すれば1時間30分ぐらいで収められただろう。

 いつか映画を撮るのではないか、と思われていた松本人志が遂にメガホンを取った。これだけで観客を映画館に行かせようと思わせるのに充分であって、さらに内容を徹底的にシークレットにしたことでさらに興味は夏の入道雲のようにもくもくと大きくなった。深作欣二は生前、映画製作をまつりに例えたが、観客にとっても映画を見に行くことはおまつり。その気分を味わえただけでも、たとえ面白くなかったとしても、観客の勝ちである。年に何本も映画を見てるとつい忘れがちであるが、映画館に入る時のときめき場内が暗くなってからの湧き上がる高揚感、こうしたものを忘れては映画鑑賞なんてちっとも楽しくないと思う。

 予告編のロン毛で神主の松本と住民らしき人が大騒ぎしてるシーンから新興宗教が題材かと思ったが、さにあらず。(なんか予告編は伊丹十三の映画に似てるなと思ったのは私だけか)松本演じる大佐藤は巨大化して地球を怪獣から守るスーパーマン。しかし、全てが相対化される現代において、彼はその祖父が受けたヒーローとしての扱いはされていなかった。まずはその小人プロレスのレスラーのような容姿がテレビから嫌われ、巨大化による町の破壊で近隣の住民から嫌われて、家に石までぶつけられる始末。映画はその大佐藤のドキュメンタリーという形を撮っている。言わば、フェイクドキュメンタリーですな。戦闘シーンはCG合成で海原はるか竹内力、神木隆之助、板尾創路原西孝幸などの顔面をモチーフにして、どこかぬめっとして生々しい感じになっている。

 一番面白かったのはやはりラストのコントかなあ。。大佐藤が怪獣を「獣」とこだわって呼ぶシーンも笑った。キャストでは大日本人をビジネスと割り切る、クールなマネージャーを演じたUAに大佐藤の元妻、街田しおんと二人の女がよかった。お笑いの人ばっか出ているイメージだが、こうした、映画を細かく見てなかったら知らんやろうと思うキャストを使ったり、カメラが三池崇史と組んで傑作を連発した山本英夫だったりするのが見逃せませんな。

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