エミリー・ローズ

エミリー・ローズ 4/15 MOVIX京都シアター1
★★★★★
→ホラーは苦手なので、当初はスルーの予定だったが、ローラ・リニーと「フルモンティ」で見栄っ張りな上司を演じたトム・ウィルキンソンが出ているので見た。傑作であった。テイストは確かにホラー映画なので、苦手な人にはキツイと思うのだが本作のテーマは悪魔憑きである。ショッキングなシーンも多い。しかしそれ以上に本当に悪魔がいるのかどうかを法廷で争ったという実話を基にした、骨太なドラマに見応えがある。

 ある田舎町で女子大生のエミリーが謎の死を遂げた。検死の結果、検察はエミリーは自然死ではないと判断。悪魔祓いと称し、死ぬ寸前の彼女の最も近くにいたのはリチャード神父。検察は彼を過失致死罪で起訴。エミリーは数年前から怪現象に悩まされていた。恐ろしい幻覚に痙攣が続いた。医者は彼女を神経、精神の病気と判断。薬を処方したが全く治らなかった。彼女は自分が悪魔に憑かれたと感じるようになり、神父に悪魔祓いを依頼。神父は薬の服用を禁じ、悪魔祓いを敢行。そして、、彼女は変わり果てた姿となった。検事は医者に証言させ、彼女の死は薬の服用を辞めたからと主張。対する弁護士のエリンは悪魔祓いを実証するために悪魔祓いの儀式に立ち会った医師を証人として呼ぼうとするが。。

 悪魔祓い。これは単純にオカルトではなく、宗教に基づくものである。カトリックの神父がカトリック教会の許可を得て行う。信仰か医学か、このデリケートな問題にしっかりと踏み込んで緊張感あふれるドラマとなっている。

 ストーリーが進行するに連れて、映画の温度が上がり始めて、ラストで最高潮となる。ラストで監督の描きたかった、真摯なメッセージには思わず涙が出た。見事な傑作。キャストではローラ・リニートム・ウィルキンソンの落ち着いた演技もいいが、新人ながら悪魔が憑いた少女を熱演したジェニファー・カーペンターの身の張り方がすごい。