どんと行こうぜ 1959年 松竹大船

☆どんと行こうぜ 1/12 シネ・ヌーヴォ(追悼 映画監督・野村芳太郎 さらば、映画のコンダクター)
★★★
→大学の放送研究会を舞台にした学園ラブコメディ。牧紀子は研究会のリーダーで「現代学生の経済生活」というテーマで構内でインタビューを行っていた。そこで出会ったのが学生の津川雅彦。「学生アルバイトなんてくだらない」と言い切る津川に牧は憤慨する。牧の兄(渡辺文雄)はラジオのディレクターで妹の放送研究会に番組を作らせようと考えており、バーに牧を誘う。が、そのバーにいたのが学生アルバイトとして働いていた津川。アルバイトをしているのにアルバイト学生をバカにするなんて、と怒る牧だが津川と兄は意気投合。反発しながらも牧は津川に惹かれて行く。。

 ストーリーラインはこんな感じ。テンポよく、学園風景のどこか呑気でだらけてて、それでいて計算高くて、どこかナイーブな感じをよく切り取っている。人を食ったように見えて実は純情な学生を津川雅彦が好演。この人はこうしたさっぱりとした役柄がうまい。女優陣では牧紀子も綺麗だが私はやっぱり高千穂ひづるに尽きる。色気ある大人の女性がよく似合うねえ。脇役ではバーのマネージャーを演じた西村晃に「なーにわのうんどうぶ♪」の運動部長さんに山茶花究。二人とも相変わらず、面白いです。場さらっちゃいます。

 脚本は大島渚。社会派のドラマのイメージが強い人だがこうした、多くのキャラクターを数多く並べて場面展開が豊かな、楽しい作品も書ける人だったのだ。山本薩夫みたいにそのテクニックを存分に発揮できる場が与えられたのならこの人もいろんな分野で傑作を残せたと思う。松竹じゃなくて、大映や日活だったのならばまた境遇も違ってたでしょう。撮影は川又昂。これがデビュー作で以降、野村芳太郎と組んで数々の傑作を生み出していく。本作でも螺旋階段を舞台にしたシーンやガラステーブルを下から映し出したりと構図に工夫を凝らしている。

 それからノンクレジットでクレイジーキャッツが出演。ギャラが少ないのに腐ってええ加減に演奏するバンド役で出てます。金数えながらギター弾いてる植木等がナイス。