子連れ狼 親の心子の心 1972年勝プロ
☆子連れ狼 親の心子の心 11/11 高槻松竹セントラル(不滅の時代劇傑作選4)
★★★★★
→シリーズ第四作。監督は日活アクション映画の旗手であった齋藤武市。本作の注目点はなんと言っても宮川一夫のカメラであろう。それまでのシリーズ三作の名場面のカットを矢継ぎ早につなげた目まぐるしいオープニングからとにかくすさまじいテンポでアクションを見せてくれる。ドラマはねっとりと見せて、アクションシーンをものすごい迫力で見せる。特にクライマックスのシーンは手振れカメラで塹壕を走り抜け、臨場感たっぷりに戦場を描き出す。何しろ敵は大砲で攻撃してくるのだ。正直、酔いそうになった。宮川一夫、この時64歳。既に誰もが認める巨匠であったが、縦横無尽で迫力満点なカメラワークを見事に構築している。勝プロでの宮川一夫の仕事はもう何でもやってやれ、という感じで仕事に勢いがあってすごく楽しい。斎藤監督もまるで西部劇のように、荒地を舞台にしたアクションを成功させている。
宮川一夫は大映京都を代表するカメラマンで「無法松の一生」「羅生門」「ぼんち」「用心棒」「悪名」「ある殺し屋」など数々の名作を撮影した。一般には黒澤明作品で名が知られる宮川であるが、様々な仕事を担当している。晩年、目を悪くして「影武者」を降板したが、80歳を過ぎてからも映画に対する情熱は衰えなかった。今は無きルネサンスホールに「このシャシンは撮影がいいと言うから」と当時、珍しかった韓国映画を見に来ていたそうだ。1999年に逝去するまで映画に情熱を持ち続けた求道者であった。
- 作者: 宮川一夫,淀川長治
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