男はつらいよ 柴又慕情（第9作）1972年8月5日

封切

国民的女優とまで言われた吉永さゆりをゲストに迎えての第9作。観客も180万人を突破し、松竹の看板と言うよりも日本映画の看板となった感じもある。本作よりおいちゃん役が松村達雄にスイッチ。ゆったりとした口調が味わい深い松村達雄だが早口の江戸っ子弁を披露しててこれが様になっている。ただ本人は厭だったようで、すぐに下條正巳にスイッチしてしまう。結婚したい娘と結婚を許さない孤独な父親とオーソドックスなストーリーで展開の面白さはない。ただ吉永さゆりはやっぱり綺麗でさほどファンでもない私でもうっとりしてしまった。いつものことだが、寅次郎がデレデレで失恋のことをさくらにツッこまれてテレまくるシーンが面白すぎる。皆が思わず笑ってしまうシーンなんだが、出演者が演技でなく本当に噴出していて好ましい。一作目でもやっていたが渥美清が顔を崩して「バタア」と言うシーンやのぼる（秋野大作）との再会も印象深い。宮口精二の頑固親父っぷりも前作の志村喬に負けず劣らずでどっしりと重くていい感じだ。

スタッフ：監督：山田洋次　脚本：山田洋次、朝間義隆　企画：高島幸夫、小林俊一　撮影：高羽哲夫　音楽：山本直純　美術：佐藤公信
キャスト：渥美清、倍賞千恵子、松村達雄、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、前田吟、佐藤蛾次郎、吉永さゆり、宮口精二、吉田義夫、佐山俊二、津坂匡章（秋野太作）

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