☆鯉名の銀平
☆鯉名の銀平 7/20 みなみ会館 市川雷蔵映画祭2005雷蔵忌スペシャル・セクション
★★★★
→市川雷蔵、勝新太郎と仲が良かった田中徳三の監督作品。「悪名」シリーズのほとんどと「兵隊やくざ」シリーズ、「座頭市」シリーズでの勝新太郎との仕事が著名ですが「お譲吉三」や「大殺陣 雄呂血」や本作のように市川雷蔵とも多くの傑作を残しました。大映は特定の俳優と特定の監督を組ませるということをあまりしなかったので、(例外は若尾文子と増村保造)色合いが固定せずに監督ごとに俳優の様々な一面を見ることができた。これが大映の強みだったのだが俳優に頼りすぎたことも事実で雷蔵が亡くなった二年後に倒産してしまう。原作は長谷川伸の代表作で所謂、股旅物の一本。雷蔵演じる鯉名の銀平は好きな女を決闘の末に友人に譲り、故郷を棄てた男。フラリと故郷に帰ってきた銀平はかつて自分が世話になった家が没落して、悪逆非道の親分が故郷を支配している現状を目の当たりにします。さらに堅気になった友人にも魔の手が伸びている。。単純なストーリーを脚本をベテランの犬塚稔は女を取られたという友人に対する憎しみの思いと女を幸せにしたいという思いに苦しむ銀平を描いています。その後姿はどこかさびしい。テンポのいい演出と三隅研次とは対照的にロングを効果的に使った独特の決闘シーンが田中監督の持ち味ですが、本作でも決闘に挑む銀平をシルエットにしてしまうなどの工夫がされていて、チャンバラのシーンにも力が入っています。とにかくスピードが早いのだ。雷蔵は明るい侍の役も印象的でしたが寂しげなヤクザもうまい。なお後年に雷蔵が病気で倒れたのは同じ長谷川伸原作の「関の弥太ッぺ」の撮影中でした。結局、雷蔵の「関の弥太ッぺ」は完成することはなく、雷蔵は1969年に亡くなりました。「関の弥太ッぺ」は中村錦之助を主演にした作品が印象的ですが雷蔵の弥太ッぺも見てみたかった。。
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