妖怪大戦争
妖怪大戦争 8/7 MOVIX京都シアター3
★★★★★+★★
→日本映画界のキャスティングボードを握る一角となった角川映画(雷蔵と勝新のDVD化権を取得するために大映を買収して角川大映を設立するもあっさりと社名から大映を削った。私のような大映ファンにとってはむかつく限り)製作の夏の妖怪映画。68年に作られた大映映画「妖怪大戦争」のリメイクらしいが、あまり関係が無い。そもそものきっかけは宮部みゆきが「ロード・オブ・ザ・リング」みたいな日本映画の例として「妖怪大戦争」を挙げたことだったらしい。もっともあとで監督の三池崇史が本人に確かめたところ、「妖怪百物語」の間違いだったらしいが。原作は水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきと言った魑魅魍魎うごめく作家の世界で異彩を放ちたおしてる妖怪の皆さんに監督が、一年に3本とか4本とか、全盛期の大映の三隅研次や森一生のようなペースで撮る三池崇史でこのオッサンも妖怪であるんで普通の映画ができるわけナイ。大体、戦争と言ったって妖怪はちっとも戦争しておらんのだ。水木さん曰く「妖怪は怠け者なんですよ」。この人が言うんなら仕方ないわなあ。。この人と丹波哲郎(この妖怪も三池と仲良し)の逆らえる人はおらん。ということで少年が悪人を倒すという基本のストーリーはあるんだが、普通の冒険活劇にならずにどうでもいいところにしつこくこだわりを持ち続ける三池節全開のおかしな作品になっていて大変に面白い。私が三池の映画で大好きなのは「極道恐怖大劇場 牛頭」なんだがあれを金かけて作ったような感じで嬉しくて仕方がない。「ゼブラーマン」は哀川翔をかっこよく描くために作った映画で三池らしさが全く無くなってつまらん映画であったが、本作では腹をくくったように自分らしさをフルスロットルに出し切っている。はむ太郎そっくりなすねこすりとか麒麟ビールの隠された秘密とかごぼてんのごぼうが抜けるとかもう拍手喝采であった。「ロード・オブ・ザ・リング」のパロディもあったしね。驚くのは特撮監督もおかずに妖怪のおしくらまんじゅうのシーンも全部自分で撮っていることだ。ロボットがカクカクと動くのが楽しい。主演は神木隆之介君で妖怪を見ての叫び声が大変に素敵でまるで「ホーム・アローン」のカルキン君みたいだ。(少しひっかかる言い方だな)川姫を演じた高橋真唯は演技は大根だが(怒るシーンで本気に怒鳴りまくってて吃驚した)正統派美人でうっとりするほど。常に濡れてて太ももが大変にエロッぽい。監督は「妖怪大戦争ではじめて勃起したという思い出を持って欲しかった」と言ってますが思うに中学生の少年が間違って神木隆之介君で勃起して、うほっな道に進んでしまうことを防ぐためにエロ妖怪を出したんだろう。青少年の育成にも一役買ってますな!それから映画に出てきた水木しげる記念館(ストーリーに一切関係なし)にはぜひ行かねば。この映画を見ることなしに日本映画を語ることなかれ。日本の夏、妖怪の夏でございます。
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