野村芳太郎監督、死去。 - ほぼ日本映画専門サイト「キネマの星座」

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　野村芳太郎監督、死去。松竹蒲田の大監督野村芳亭の息子として生まれ、父と同じ映画監督の道を歩む。1957年に撮った、松本清張原作の「張込み」が高く評価され、その後も松本清張原作の映画を中心にヒット作を量産する。この人の面白さはそうしたサスペンスや推理劇でもいい仕事を残したが松竹喜劇の先頭に立って、「拝啓天皇陛下様」や「なにがなんでも為五郎」などの傑作も作った。その門下生だったのが、山田洋次であり、森崎東だったのだ。60年代後半から沈み始めた松竹を支えたのがこの人の作った作品であり、そしてその人材であった。この人がいなければ、松竹は早晩なかったと思う。85歳と年に不足はなかったが、85年の「危険な女たち」を最後に映画を撮ってなかった、というのが少し悲しい。ちょうど橋本忍が表舞台から姿を消した時期と重なっており、彼も同時に舞台を降りてしまった印象が強い。

　私にとって野村芳太郎は松本清張原作のサスペンスが馴染み深い。「張込み」「ゼロの焦点」「影の車」「砂の器」「鬼畜」「疑惑」「迷走地図」は映画館で見ることができた。どれも好きな作品だが、一番好きなのを選べと言われれば「鬼畜」ですね。やるせなさに溢れてて、胸にぐっさりと突き刺さる作品です。追い詰められた人間の業をドラスティックに描き出すのがとてもうまい監督でした。岩下志麻の起用が多かったと思う。「疑惑」「影の車」もすごくよかった。私が知っているのはこうしたサスペンスばかりで喜劇はほとんど見ていないのでぜひ、また見る機会を持ちたいと思う。合掌。

鬼　畜　http://homepage3.nifty.com/tetorapot/movie_040302.htm#鬼畜
砂の器　 http://homepage3.nifty.com/tetorapot/movie_040401.htm#砂の器