映画番長オールナイト「映画番長VS刺客オールナイトッ!」

bancho


☆11月13日にシネ・ヌーヴォで行なわれた映画番長オールナイト「映画番長VS刺客オールナイトッ!」を見てきました。これも「刑事まつり」の系譜につながるおまつりなんだが、作品の出来よりもノリでかっ飛ばしてた「刑事まつり」に比べるとずっと予算も多いし、見てられる作品になっている。同型のDVカメラで同一予算という条件の中でコメディ、エロ、ホラーの分野で映画を撮る。気鋭の監督を映画番長として、新人を刺客としてその作品の質を勝負する、という大層面白い企画である。昔のATG映画みたいな雰囲気である。雨後の竹の子のように新人監督が溢れている状況であるが、ほとんどがテレビ畑やCM畑の人で異業種からの参入が多い。映画監督になりたい人は他の分野で功を成してから入るのが一般的に見える。もう一つの道が黒沢清清水崇のように自主制作から入る道だろう。「映画番長」もそうした自主制作からの登竜門みたいな雰囲気も持ってて、映画美の学生も製作に参加している。


☆東京では渋谷のユーロスペースで長期にわたって上映されて好評を博した企画ではあったが関西ではシネヌ-ヴォで一週間のみの上映。さぞかし、多くのお客さんが来てるんだろうなあ、と前売り券をゲットしてなかった私はおそるおそる8時半過ぎに窓口で残部数を尋ねたが整理券の番号は何と10番台。そしてレイトショーの「片目だけの恋」もガラガラ。拍子抜けした感じであったが、オールナイトも半分も入っていなかった。ここは土日のイブニングショー、レイトショーは大入り満員なんだが。。


☆一抹の寂しさを感じる。この手のおまつりは映画館側にしても、手がかかる企画なんでお客さんが入らないのなら辞めてしまうだろう。東京ではまだまだこの手の企画にお客さんが入って、話題にもなっている。人口が多いから、だというのもあるがそれだけでは片付けられない。関西にそうしたパワーが少なくなってきている感じがするのだ。東京に住む映画ファンにはやはり映画文化の先頭に立つのは東京人だという自負があるのだろう。東京国際映画祭、ファンタスティックもあるし、ラピュタ阿佐ヶ谷もあるし、ポレポレ東中野もあるし、渋谷のミニシアター街に三百人劇場新文芸座と東京の方がそりゃ中心で関西なんか既存のミニシアターがバタバタと倒れてるような状態でどうしようもないんですが、こうした企画に客が入らんというのはこれは本格的に、文化の発信地=東京という方向が進んでしまっている。大阪、名古屋、福岡、広島も今や他の地方と同じで地方都市になってしまうのか。もちろん、地元で地元発信のエンターティメントを作ろうとしている人はいるんですが、笛は吹けども踊らずではねえ。。(これは自戒の意味も込めて。口だけでは駄目なんで主体的に何かやらねばならんと考えている。)さいたま、ちばを始めとする首都圏+長野みたいに方言棄てて、東京からあのアクセスが如何によいかのみがとりえの、東京のおこぼれ預かって生きていく方が楽なんだろうが、関西もそうなるのか?関西が駄目なら他の地方も総崩れやで。ただ、新文芸座で大ヒットとなった中島貞夫映画祭もあんまり入ってなかったみたい。中島貞夫ってこっちの方が本場やで。もっとも、映画番長にしてもオールナイトやるんだからゲストの一人でも寄越しやがれとは思うぞ。

☆脱線しましたが作品の質はどれも素晴らしく高く、ほとんど眠りませんでした。(「稀人」の前半は少し寝た)画像がきたねえだろうからどうかなと思いましたが、思った以上に綺麗でした。個人的には「ラブキルキル」が一番よかったです。津田寛治の面白さを引き出したかたちで料理したのは”刺客”であった。これからが楽しみです。瀬々さんの「ユダ」もよかったです。デビューの「バウンス ko GALS*1以来に久々に出ずっぱりの岡元夕紀子のお姉さまが大変美しゅうございました。え?この人は私より一つ下ですか?

http://www.eigabancho.com/

*1:

バウンス ko GALS [DVD]

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