ちゃんばら映画はこう作る〜中島貞夫、福本清三、栗塚旭、上野隆三、熱く語る〜

☆続けて祇園会館にて行なわれた座談会「ちゃんばら映画はこう作る」を見に行く。出演は福本清三栗塚旭、殺陣師の上野隆三のお三方で司会は中島貞夫。出演者が刀をぶら下げながらでてくるのだから、期待してしまうではないか。待ってましたの立ち回り。上野氏が型を丁寧につけていって、実演。栗塚氏に斬られて、しっかり海老ぞりで死んでいく福本氏に会場全体から拍手が巻き起こるという大変楽しい時間であった。大友柳太朗は構えが大きく、胴払いするつもりが鼻の下を払ってしまった話とか河原崎長一郎は自分で目の下を斬ったことがあるとかの思い出話も楽しかった。拓ボンの話も面白かった。川谷拓三と志賀勝は「蒲田行進曲」のヤスじゃないけど危険手当がつく、危険なスタントもよくやってたらしい。その危険手当を飲み代にしていた。この時代の大部屋俳優の無茶ぶりはすごい。スタントの練習で撮影所の3階の窓から飛び降りたという逸話も残っている。下にはマットは引いてあるが危なすぎる。これもやはりやってたのは志賀勝と川谷拓三(笑)。拓ボン中島貞夫の映画で火だるまになったり、高所恐怖症なのに忍者のスタントに志願して上にあがった途端に泣き出して代役を福本さんがやったりとかいろいろあったらしい。福本さんは拓ボンと一緒に住んでいた時期もあった。

☆後半は時代劇についての意見が交わされた。時代劇の今後はどうなっていくのか。19日の座談会で品川隆二が「昔のような時代劇はテレビでは成立するが映画に撮るとお客が見に来てくれない、自分が理想と思う時代劇はもう映画では無理だと思う」という感じのことを語っていたがこれはもう本当に深刻な問題でスタッフもキャストも規模が小さくなってきている。でも新しい人を入れてもメシが食えるかわからないという問題に直面してしまう。上野氏にしても福本氏にしてもその危機意識というのは大変高かった。福本氏は「ラストサムライ」撮影参加の経験から「聖林の凄いところは我々よりも本格的な時代劇映画でも簡単に撮ってしまうところで、馬の扱いや立ち回りについても本当によく勉強している。私は北野武監督の座頭市はそんなに好きではないが、ヒットしているということはやはりそれなりの魅力があるのだろう。まずはお客さんが入る映画を撮らないと。それには時代劇の変化も必要だろう」というような感じのことを熱弁しておられた。本当にこの人たちは時代劇が好きなんだなあ、、と思える有意義な座談会であった。