板谷由夏の太ももに惚れる夏の夜

運命じゃない人

星による評価はあくまでも目安。5つ星で評価しとります。大体が星4つから2つまでの範囲です

★★★★★・・・映画ファンならば必ず見るべし

★★★★・・・・ぜひ見ておきたい作品

★★★・・・・・映画館で見ても損はなし。ここまでは標準

★★・・・・・・時間がないならスルーでもOK

・・・・・・・金払う価値なんてない

星なし・・・選外。フィルムの汚れは映画とは認めない。



★・・・日本映画新作

★運命じゃない人

運命じゃない人 2/2 大津京町滋賀会館シネマホール
★★★★
→名作には名脚本が不可欠。しかし、名脚本から必ずしも傑作は生まれない。言わずとしれた映画のセオリーであるが、3桁の映画を5年以上見てきて思うのは、いい脚本があればどれほどイライラするような演出でもそこそこの作品はできるのである。俳優が大根でも監督がクソヘボでも、ドラマの転がし方がうまかったらまあ見てられる。プラスで女の子が可愛く撮れてたらもう今の日本映画じゃ、御の字である。某雑誌曰く、80年代から現在までの映画で一番らしい(どういう基準なのか、さっぱりわからん)「ALWAYS 三丁目の夕日」が例として挙げられると思うが「この監督じゃなかったら、もっと面白かったのになあ。。」と思う作品は数知れずである。笠原和夫の「昭和の劇」と桂千穂がまとめた膨大なインタビュー集「にっぽん脚本家クロニクル」を読んでからどうも私は脚本家寄りに映画を見てしまう癖がついた。

 まあそれはさておき。。本作の場合は監督も脚本も同じ人物、内田けんじである。新人監督である。インタビューでも答えているが、本作はロクに脚本を書かない映像重視派に対する対抗意識から脚本を練りこんでいる。多くの新人監督はストーリーよりも映像で観客をびっくりさせてやろうと考える。しかしびっくりするような映像なんて、なかなかないのである。日本でさえ、何百人という監督が世界で言うと千人以上の監督が100年以上かけて、いろんな作品を作っている。森崎東は「喜劇・女は男のふるさとヨ」という作品で緑魔子がトイレで水をぶっかけられるシーンを超クローズアップで撮れたことがとても嬉しかったと舞台挨拶で語っていた。(何が嬉しいのかは私にはさっぱりわからんかったが。。)プロの映画監督でも常に本人が満足した映像を撮れているわけではないのだ。まして新人が!ということである。よって北野武もどきだの、市川箟もどきだの、鈴木清順もどきだの、塚本晋也もどきが自主映画界で氾濫しとって使いもんにならんのか、テレビドラマの演出家上がりに仕事を奪われている。何年か前のぴあフェスティバルで新藤兼人が語っていたが映画はまず脚本ありきなんである。

 内田監督はそうした自主映画のノリに反感を覚えて、呆れるほどの時間を費やして、全くキャラクターの違う5人の登場人物を作り上げて、台詞のやり取りを中心にしたドラマを何本か作った。そしてさらに、それを一旦バラバラにして構成しなおした。前半の霧島れいか中村靖日とのやり取りもこなれていたが、後半の山下規介山中聡板谷由夏のクライム・ムービーが実に面白かった。前半でいくつか不自然に残った伏線が見事にするすると結びつく爽快感に頬が緩みっぱなしであった。

 演出は淡々としているが、テンポよく、さくさくとストーリーを進めている。あるシーンを片一方の主観で語ったあとに、もう一方の主観でなぞっていく工夫は面白かった。山中聡に取ってはノリで声をかけただけなのに、霧島れいかにとってはそれは蜘蛛の糸なんである。。こうしたことは日常でもよくあることで映画にリアリティを与えるのに成功している。しかし監督の演出面の手柄はもう一つあると思う。それは欲張らなかったことである。この手の映画には主要登場人物の他に味のある脇役を立ち回らせることが多いのだが、石井克人堤幸彦の映画がそうなんだがそっちにばかり気が回って、いつのまにかストーリーをめためたにしてしまうことが多い。この映画でも何でも屋の山ちゃんやヤクザの子分などをそうして使うことができたと思うが、あえて小ネタを封じてストーリーを進めている。ストーリーだけでぐいぐい押し切ったのがえらいと思う。

 キャストは軽量級だが、みなよかった。中村靖日山中聡ももう何回も見ている役者であるが、こんな演技ができるのかと感心した。特に山中聡の台詞回し、いいねえ。どことなく人を食ったような感じで淡々と諭すような口調が映画にリズムをつけていた。板谷由夏大谷健太郎の「アベック モン マリ」ばりの当たり役。この人は監督に恵まれている。これからも有望な新人監督の作品にバンバン出て、「この女優を使った監督は大物になる」という”新人監督の女神”のような存在になって欲しい。霧島れいかも口すぼめてうつむいてるだけで本当に不幸そうに見えるはかなさをよく出していた。山下規介ジェームス三木の倅。大河ドラマの「吉宗」で吉宗の次男を演じていたのを覚えている)もビジネスライクに見えるが実は苦労人の組長をうまく演じていたが、ここはもっと年かさの役者、國村準か木下ほうかあたりを使って欲しかったなあ。

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作品の出来栄えはかなりいいだけに映像の汚さと音楽の使い方が下手なのが少し気にはなった。にしても板谷由夏はそんなに若くないはずなのにいつまでも可愛いな

ほりえもんもきっと見てるはず!渡辺文樹の「御巣鷹山」が京都に、よりによって御所のすぐ側にやってくる!

明日は近畿は大雨な予感ですが、関西にお住まいの皆様、明日は京都府民ホールアルティにご集合お願いいたしますぞ!
拙ブログ7月2日の日記参照

アルティの設立趣旨ですが、

京都府府民ホールは、優れた文化芸術活動の場を提供し、府民の文化の向上に寄与するため、旧京都府知事公舎跡に昭和63年(1988年)10月8日に開館しました。 開館時に名付けられた"アルティ(ALTI:Art Live Theater Internationalの略)"の愛称で親しまれています。

ということでこんなところで渡辺文樹の映画なんてやってもいいのか、と思ってしまいますが、(文化の向上?)まあいいんでしょう。京都府は本当に太っ腹です。観光にならないものには一切銭を出さずにごみ袋有料化に力入れすぎの京都市はえらい違いです。好き好き、京都府

にしても公演予定にも入っておらず、2ちゃんねるのスレがニュースソースなので本当にやるのか、実に不安です。ホンマにやるんでしょうか?ちと不安になってきた。。

実はそんなに見たくないのだが