やましろ映画館事情2007

tetorapot2007-08-11


京都にある映画館たちをヒネた映画ファンが好き放題に書くという、他人を読んでも面白いかどうか謎ですが、書いてる方は確実に楽しい、というまあそういう企画でございます。

映画館ってね、要は映画を見るハコってなだけなんで、あんまり過度な思い入れを持つのは好きじゃないんですけどね。長く通っていると愛着も出てくるし、またの逆の感情も出てくるわけで。。街の映画館がどんどん無くなっていくのを嘆く人がよくいますが、大体、そんなん言う奴に限って、映画見てませんしね。つぶれると決まった途端に文化の喪失だとか何とか、寂しいとか、街の風景が変わるとか言いやがってね。じゃあ、あんたはどれだけ行ってんのか、と。前は何回か通ってていつか行きたいな、とか思ってただけの人でもそんなこと言う人いますからねー。映画館は観葉植物じゃねえんだぞ。毛虫いっぱいでも、見栄えがいいから、公園の松を切るな、とか言うてる爺さんと一緒。大体、こんなこと言うバカにろくな奴はおらんのです。バカばっかりだ!

文句言うんなら自分で何ができるか、を考えてみろってんだ。てめえが友達の3人も連れて、毎月来てればつぶれんのですよ。そうした魅力がない映画館ならつぶれても仕方ないし、時代の流れってのも確実にありますわな。大体、映画を文化とか言い出したら、もうおしまい。映画は文化じゃなくて娯楽。その感覚で行かないと何を持ってよい映画か、がわかんなくなる。上方落語ファンは落語専門の寄席がなかった時代から落語を支え続けた。その年月があったから、見事に円熟期を迎えたのだ。映画ファンはその点、まだまだ幸せなもんです。

はっきり言えば、みなみ会館もいつまであるのか、わからねえ。客の入りも相変わらずよくねえし。でも観客ができることなんて、見たい映画があったらそこで見るようにする、それから友達誘うとか、パンフ買うとかないわけで。そうした状況でも、よりよい映画を一本でも多く、観客にと方針を変えないで頑張っているスタッフに素直に敬意を表したい

何にしても映画はやっぱり映画館で。DVDで見るな、とは言いませんが少なくとも映画監督は映画館で上映されることを頭において、作ってるわけですから、映画館で見るのがやはり最低限な映画ファンの矜持だ、と思うのですが。。私は古うござんすかねえ。。

東宝公楽
既存の巨大映画館を分割(北野劇場はスクリーンが半分に切られた)して無理矢理シネコンにしてしまい、シネコンにできない映画館はつぶしてしまうという、街の映画館消滅頂上作戦を敢行中の東宝にとって、関西ほぼ唯一と言ってもよいと思うが、500人収容の1スクリーンの東宝公楽は珍しい存在であろう。昨年の1月に河原町から東宝の灯が消えたが、映画館は一本のろうそくたれ、と言わんばかりに唯一残った東宝系映画館。ここもいつ、つぶれるかわからんが、つぶれても私の映画ライフへの影響はなさそう。昨年は一本も鑑賞なし。今年も多分なし。



MOVIX京都
→当時、郊外に作ることが常識であった時代に街中に突如出現したシネコン。常識を見事にぶち破り、街中にシネコンを定着させ、12のスクリーンを擁する京都ナンバー1シネコンの地位を不動のものとしている。一時期よりは落ち着いたと思うが、休日、水曜日の混乱はすさまじく、チケット売り場に行列ができることもしばしば。(紀伊国屋書店の2階にある南館チケットカウンターは空いてるんで混雑時はこっち使いましょう)ラインナップは拡大公開系洋画からアニメ、日本映画、ミニシアター系作品と幅広い。6本見れば1本は無料というシネコンのサービスはやはり嬉しい。

「MOVIX京都がジャンルにとらわれず独自にセレクトした」スペシャルアートセレクションも対称作品を5本見れば、1本ご招待。(ただし、対象作品のみだけどな)このセレクション、大体はミニシアター系作品、京都シネマとかぶりになった作品が多いのだが、「ロッキー・ザ・ファイナル」が入っており、本当に「独自にセレクト」しとるな、と感動した

昨年は上映前に意味不明なウサギのCGアニメ(コント?)が流れていたが、最近見なくなった。その代わりに中野眼科という京都で有名な目医者のスポットCMが入ったが、これも見事にわけわからん。不条理というか意味不明というか。。オチになってないというか。。レナコって。。とにかく腰砕けなCMなのだ。興味ある方はサイトでも見れるようなのでぜひご覧ください。女の子は可愛いです。

シネマ歌舞伎ゲキシネにも熱心で今年も10月から劇団☆新感線の「朧の森に棲む鬼」の上映も決定している。独自色の一環なのか、昨年は京都映画祭の会場にもなった。昨年は40本鑑賞。今年は7月末現在で6本。すくねえ。



新京極シネラリーベ
→新京極のド真ん中に2スクリーンを擁する老舗映画館。昨年までは弥生座という、昔ながらの看板をかかげた映画館であったが、名前をカタカナに改めてミニシアターへの脱皮を図っている。。はずだが、ラインナップは東宝系の日本映画、アニメと東宝二番館的な路線は未だに継続。たまにミニシアターな作品もやってくれるが、京都シネマみなみ会館に比べると影薄し。

昨年は久しぶりのRCS企画の「新京極カルト&ミステリー〜愛と幻想の映画案内〜」と題して怪奇映画の特集上映。みなみ会館が無くなった後のRCSの次の本拠地はここだと思わんでもないが、ミニシアターに徹する覚悟はなさげ。昨年はその特集で2本のみ鑑賞。館内は相変わらずですが、カウンターはえらく綺麗になってました。今年は鑑賞なし。



京都シネマ
→今や、京都の映画ファンにとっては欠かすことのできないようになった、日のあたる勝ち組ミニシアター。3つのスクリーンを擁し、平日休日問わずに連日賑わっている。客層に女性が多いのは、やはりCOCON烏丸内という立地条件に加えて、清潔でこじんまりとした映画館であるからだろう。混雑を避けたい方は夕方がお薦め。レイトショーは混むが、夕方はやや空いてる。

ただ、前の朝日シネマもそうだったのだが、座席の高低には全く無頓着でほとんど段差なし(天井が低いからある種仕方ない部分はあるが)で前に大きなオッサンが座ると字幕が見えなくなる。特に3はひどく、席によって、前にどんな人が座るか、混雑状況によって、かなりアタリハズレありで最後列の人が上映中に立ち上がれば、スクリーンに影が差すという田舎の上映会状態になってしまう。何とかならないものか。。ならんか。ラインナップはミニシアター系作品を中心に、外国映画6、日本映画4ぐらいのラインナップ。売れ筋なミニシアター作品はMOVIX京都と二館上映になることもしばしば。昨年は12本鑑賞、今年は7月末で既に14本鑑賞。今年はなんかラインナップがよいです。




みなみ会館
→この時代の1スクリーンのミニシアターの経営が如何に大変か、それはRCS会員になって毎月のRCS通信を見ればそこには、生前の原健三郎ばりに危機感あおりまくりの文章がズラズラ並んでおり、正直辟易する旨もあるが、まあよく持ってるなと思う。

昨年の秋に突然、1階のパチンコ屋が閉めてしまった。当初は改装中かなと思ったが工事している様子は無く、未だに再開なしでつぶれたと言っても間違いないだろう。嘘か真かははっきり知らんが、閑古鳥の棲家であるみなみ会館がどうしてつぶれないか、の大きな理由に、下のパチンコ屋と経営者が一緒で映画館は税金対策だとの説が有力であった。。。だったらやばいじゃん!

現に、先日の市川雷蔵の映画祭にてRCS代表の佐藤氏から「京都駅南にシネコンができたら、(多分、番組回してもらえなくなるので、)みなみ会館はつぶれます!」発言が飛び出したりとかで、危機は深まりつつあるんでしょう。京都シネマが出来たとは言え、ミニシアター系でもどマイナーな作品や日本映画の特集上映はここしかやってくれない。貴重な存在には間違いないので、俺は最後まで応援するぞ。来年もまた市川雷蔵映画祭!頼みます!昨年は16本鑑賞。今年は7月末で6本鑑賞。



祇園会館
→封切り(こういう言い方は最近しなくなったな)から半年ぐらいたった洋画、邦画を二本立てで上映する、名画座。全国でもこの手の映画館は珍しくなったが、どこの駅前にも映画館があった時代にはこうした映画館も多数存在した。映画を見始めた時には随分お世話になっており、「恋愛小説家」と「ベストフレンズウェディング」、「マトリックス」と「ファイトクラブ」とか、奇跡のようなラインナップもずらりで重宝した。しかし、今のようにすぐに映画がDVD化されてしまい、DVDで自宅鑑賞がスタンダードになりつつある現在では、名画座も一つの役割を終えた感はある。ここは、秋には祇園をどりの会場となるので、それで残っているという話もあるが、まあ当分はありそうな気もする。客の入りは作品によってまちまちであるが、ほとんどが招待券。ここで見たければ、まずは金券屋に行かれることをお薦めする。まあ、ほとんどの金券屋で置いてます。昨年は京都映画祭で4本鑑賞。なんで海外が舞台なのか、さっぱりわからん洛東自動車教習所のCMも健在。教習所で風になれ、て。




TOHOシネマズ二条
→TOHOシネマズ高槻がなくなったので、今後は利用が増えそうな感じの東宝シネコン。駅併設でありながら、駐車場完備という、街中なのか郊外なのか中途半端な山陰嵯峨野線沿線ならではの立地条件があたったのか、休日などは大入り満員である。10スクリーンのシネコンではあるが、100から200前後のこじんまりとしたスクリーンが多く、シネコンとしてはやや小さめ。雰囲気は割りと好きでプレミアスクリーンも荷物がおくスペースがあってなかなか贅沢な空間である。職場に近いこともあって最近使うことが多くなった。ラインナップは他のシネコンとほぼ同じだが、たまにB級洋画もやってくれるので重宝することが。今年は舞妓さんの踊りつき「舞妓Haaan!」上映など京都シネコンならではの企画も。

東宝シネコンでありながら、上映前に「鷹の爪」が流れない。嫌いなのか?昨年は6本、今年は7月末で4本鑑賞。




イオンシネマ久御山
京都府にはじめて出現したシネコン。ここも今や10年選手の老舗だな。車で映画を見に行く習慣がなく、ラインナップも普通のシネコンと変わらないので、ほとんど行ったことがない。実は家から直線距離で一番近いのだが。




京都文化博物館
→三条烏丸にある京都府文化施設。毎週、木曜日から日曜日まで映像ホールで日本映画の上映を行っている。500円で見れる手軽さもお得だが、映画愛あふれる詳細なリーフレットも読んでいて楽しい。ラインナップは割りと幅広いが、ほとんどが白黒。サイレントフィルムの上映をやるのも、ここぐらいだろう。一ヶ月ぐらいのクールでテーマを決めて番組を編成している。たまにびっくりするような作品をやることもあるが、近年はマンネリ化。昨年は2本、今年は7月末で1本。市川崑の「私は二歳」を見た。