ゲド戦記

ゲド戦記 8/13 TOHOシネマズ高槻スクリーン2
★★
→映画評論家からもボロカスだし、実際に見に行った人に聞いても、ちっとも芳しい評判が聞こえてこない。関西ウォーカーユーザーの評価も1(5が満点)が40%以上ともうめちゃくちゃ。かつてスタジオジブリの映画でここまで総スカンを食らった映画があっただろうか。

 我が家の話である。私は年間200本ほどの映画、弟は60本ほどの映画を見るが他の家族は年に6本ぐらいと日本人の平均的な鑑賞本数である。その家族の見る映画に毎年必ず入っているのがスタジオジプリの映画である。これほど評判が悪くても、「ゲド戦記」に客がつめかける。それはかつての「男はつらいよ」のように平均的日本人の年間映画鑑賞計画に「ジプリの新作を見る」ってのが年初めから心のメモ帳に登録済みであるからである。ブランドってのはたいしたものだと思う。なお、我が家の家族様に評判を聞かれた、ええ年して居候を続けてこんなことでしか役に立たない私は正直な感想「不愉快にはならんが、わざわざ見に行くほどのものでは」を伝えておいた。

 「行くな」と言ってるわけだが、我が家のジプリ最低作品統一見解である「猫の恩返し」よりは面白かった、の一言が効力を発し、おそらくこの盆休みに映画館に向かうのであろう。

 甘口映画評論家(自称)の渡辺祥子が日経で

主人公の少年が親殺しを反省もせず、何者かよくわからないままのゲドと旅をするなんて。あまりにゆるい作りのドラマに苛だつ。脚本も絵も雑。まじめに作っているのはわかるがもっと楽しさも必要です。

と書いていたが、概ね賛成である。ただ「苛立つ」までは行きませんでしたが。キャラの背景が全く描かれず、観客はキャラクターに全く感情移入ができない、というか映画自体が完全に拒否する。そしてストーリーがないまま、特に山場も何も無く、どんどん進んでいく。あ、これは重要な台詞だなと思う言葉が唐突に出てくるがほとんどスルー。本作のテーマで、予告編でも使われていた「命を粗末にする奴は大嫌いだ」も突然だ。大体、危ないところを助けてもらったのに言う台詞ではないだろう。このテルーって女はどんな女なんだ、と思ってたら言い過ぎたと思ったのか、後に謝ったりしている。なんなんだ。。「なんでそうなるねん」とツッコミを入れたくなる度では渡辺文樹の「御巣鷹山」に匹敵するぞ。それから「ゲド戦記」なのに、ゲドが肝心なところで全く戦いません

 アレンとテルーが手をつないで立ち向かうところは「天空の城ラピュタ」っぽかったり、本名が大事とか言ったり、龍が出てくるシーンなんかは「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせるが、まあ別にどうってこたあないです。

 問題作とか実験作とかを超えて本作はただの未熟な作品である。それも深作健太の作品のような勢い余っての空回り、って感じではなくて作品から「俺の作品を見ろ!!」という意気込みが全く見えてこないのだ。もしかしていやいや撮らされてる?宮崎吾朗サン

 それでも、である。私は本作があんまり嫌いではない。不完全な映画ではあるが、不快な映画ではない。描き方は下手だが、生と死に直面した人間を描いたことには好感が持てる。うだうだ、タルいストーリー満載で途中退出まで頭によぎった「猫の恩返し」よりは数倍マシです。気になるなら、どうぞご覧な。

ゲド戦記・オリジナルサウンドトラック

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ゲド戦記 全6冊セット (ソフトカバー版)

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