親切なクムジャさん - ほぼ日本映画専門サイト「キネマの星座」

□親切なクムジャさん　２／２５　みなみ会館
★★★
→どうにもわからないところが何箇所かあるので、もう一度見に行った。二回見て気づいたのは、全てのシーンに意味があるわけではないということだった。ストーリーは極めて簡素で展開もほとんどない映画なので、とりあえず小ネタ、伏線、意味ありげなシーンを盛り込んで無理やり複雑にしている。この怒涛のような情報量に抗うのを辞めて、あまり考えずに見たほうが楽しめる映画のような気がする。

　クムジャさんの更正を誓っていた牧師がチェ・ミンシクに情報を売るところはいくらなんでもおかしい。報酬を受け取ろうとした牧師が「このお金は神のために使わせていただきます」と言った瞬間にミンシクが何枚か抜いて渡すシーンが妙に印象的だ。この映画、キリスト教に対する強烈なアンチテーゼを含んでおり、冒頭の牧師との決裂シーンには意味があると思うが、牧師とチェ･ミンシクが手を結んでいるのは不自然でずっと腹に落ちなかった。何でもいいが、彼のアップのシーンが多く、そのたびにブサイクな男が半泣きになった顔が画面いっぱいに広がって吐きそうになったぞ。

　牧師を演じたのはキム・ビョンオク。「オールド・ボーイ」で金髪のボディガード役を演じた役者さん。「クライング･フィスト」でもチョイ役で出ててミンシクさんとの絡みが多い。彼だけでなく本作は韓国映画ファンなら一度は顔を見たことあるような脇役の役者さんのオンパレードである。ソン・ガンホやシン・ハギョンもチョイ役で出演しているのが目立つが、前二作で出ていた役者さんが違う役柄で出ていたりもする。

　「ほえる犬は噛まない」のペ・ドゥナの親友役が女囚の牢名主こと魔女役で、切り干し大根の婆さんも改造銃の設計書（腹腹時計みてえだ）を持つ老女囚で出演しているのが嬉しい。そうした楽しみ方もできるけど、普通の人はやんねえか。