クラッシュ

●クラッシュ 3/10 TOHOシネマズ二条スクリーン5
★★★
→見た日は大傑作だとは思ったが日が過ぎるに従って、印象がどんどん薄れてきた映画。群像劇は嫌いじゃないし、主演を作らずにロサンゼルスという街を主役にこの街を描く書き割りのように登場人物を使った工夫は面白い。白人、黒人、ヒスパニック、中近東、アジア系と様々な登場人物を出すことで、アメリカの街という多民族国家性を描き、しかし、彼らはその一つの街に住みながらもクラッシュ(交通事故)でもない限り、交わりあうことがない。会う事がまずイレギュラーなのである。そうしたポール・ハギスの意図はよく理解できるし、よく描けていると思う。

 しかし。。このもどかしさは何なのか。後半になるとテンポはガタッと落ちてしまい、ヤケクソのような、とってつけたようなドラマが続く。id:kurobakuさんも指摘されておられたが、伏線も何もなくて突然そんなこと言われても。。という感じで戸惑ってしまう。個々のエピソードは悪くないんだが、まとめ方が下手糞なんである。

 群像劇の面白さはキャストにかかっている。2、3年映画を見た人ならばどっかで見たことあるなあと思うキャストがいっぱい出ている。ブレンダン・フレーザー、サンドラ・ブロックはもちろんだが、マット・ディロンドン・チードル、「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い」の好演もよかったテレンス・ハワードリース・ウィザースプーンヒモライアン・フィリップと味わい深い脇役が出ているのも見逃せん。マット・ディロン、よかったなあ。彼をはじめて見たのは「ビューティフル・ガールズ」(邦題はクソだ)であった。「メリーに首ったけ」以来の久々の当たり役。なぜ彼が激しく黒人を批判するのか。その理由がこの映画で描かれている人種同士の対立が簡単な構図でないことを描き出す。圧倒的な存在感でした。マット・ディロンに指入れられるタンディ・ニュートンって「M:I-2」のヒロインだったのね。随分老けましたね。

 皆様、ご存知のように本作はアカデミー作品賞を受賞。アカデミー賞の前にはシネコンでひっそりと公開されていましたが、受賞後には公開規模が広がりました。私も受賞後に行きましたが、結構入ってました。アカデミー賞ってやっぱ権威あるんですね。。ただ、歴史に残るのは作品賞撮っていない映画だったりするんですが。。

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