如何なる星の下に

☆如何なる星の下に 3/28 高槻松竹セントラル(女性映画傑作選11)
★★★★
→面白い映画だったが、キツイ映画だった。やっぱり高見順原作の映画って救いが無いわ。スタッフは監督が豊田四郎で脚本が八住利雄で撮影が岡崎宏三と「夫婦善哉」の黄金コンビ。これだけでも日本映画ファンはよだれがとまらぬ。

 長女の山本富士子を主人公に次女の池内淳子、三女の大空真弓が世間様に家族に翻弄されていくドラマですが、描き方に容赦がない。親父の加東大介は戦争で怪我してからは飲み歩く毎日でロクなもんじゃない。そんな夫に逆らえない気の弱い母さんが三益愛子。酒が飲むと性格が変わってしまう。この人、そんなに演技がうまくないのだがラスト近くで見せる酔態がすさまじい。愁嘆場にぴったりで正直、やりすぎ。

 売れっ子のコメディアンの植木等に捨てられて、歌手志望の池内淳子はあっさりと自殺してしまう。植木を奪ったのは妹で踊り子の大空真弓。小さな小料理屋を切り盛りする山本富士子バツイチで前の旦那は詐欺師の森繁久彌。これが性懲りも無く、ヨリを戻そうと迫ってくる。豊田監督描く、森繁の駄目男ぶりは爽快なほど役柄にぴったりである。これは森繁にしかできない。他の人がやったら、ただただ駄目男になってしまうのだが、森繁がやるとどこかコミカルで可愛らしいのだ。

 富士子さんの心の支えは記者の池部良のみ。彼もバツイチで別れた嫁の淡路恵子は実は植木等の愛人だったりするのだ。とキャラクターが入り混じり、複雑な人間関係が映画を通して描かれる。そして救いがない。劇団座長の山茶花究が「人間は自分の星から変りはしない」を締めくくりに劇団員の西村晃が何にもいいことなく、病気で死んでいく。。

 落ち込んだ時に見ると確実に死にたくなります。しかし日本映画の最もよかった時の俳優がズラリなので見ときましょう。

如何なる星の下に (新潮文庫)

如何なる星の下に (新潮文庫)

夫婦善哉 [DVD]

夫婦善哉 [DVD]

墨東綺譚 [DVD]

墨東綺譚 [DVD]


人気blogランキングに登録しました。クリックしていただくと激しく喜びます。