PROMISE

▲PROMISE 2/19 TOHOシネマズ高槻スクリーン1
★★
→正直な感想を言うと「なんや、これ」な作品なんであるが、見ている最中は割りと面白かった。言うなれば、豪華キャストでつづる絵物語。ストーリーは恐ろしく雑でしかも、つじつまが全くあわん。それでも勢いで見せてしまうのは中国映画の勢いなんでありましょうか。見終わって家に帰ってから、あんな映画で喜んでいた自分を思い出し、思わず頬を赤らめた次第。顔から電気が出ますわい。

 オープニングの牛とチャン・ドンゴンの追いかけっこなんて「カンフー・ハッスル」みたいだったし、それに続く大将軍の真田広之が部下に将軍万歳!と胴上げされているシーンも思わず笑ってしまった。落語に「イラチ俥」ってのがあって、とにかく早いという評判の人力車でお客を乗せるのを忘れて駆け出してしまう。お客が「おーい!!まだのってへんでえ!」と叫んでる。この映画もまさにイラチ俥で観客をほっぽらかして、どんどん走っていく。そんな感じなんである。

 主人公であるはずのチャン・ドンゴンのキャラクターがよくわからんうちにどんどん暴走機関車は突き進む。奴隷のチャン・ドンゴンは主人の真田広之の主君をいきなりぶっ殺してしまうし、敵役のニコラス・ツェーは「恋のから騒ぎ」で明石家さんまさんが持ってそうな指ついた棒で「グッジョブ!」なんてやっとる。またこの棒が金ぴかでちょっとエロっぽいのだ、超欲しい。

 このスピーディー感、わけのわかんなさ、チャン・ドンゴンが出てるので余計にそう感じるのか、テイストが韓国映画なんである。要はこの映画見て「?」と思うのは、監督がチェン・カイコーだからなんであって、韓国映画なら「奇想天外!歴史ファンタジー大作!」でもっと楽しめたような気がする。「さらばわが愛 覇王別姫」「始皇帝暗殺」で俺を中国映画ファンにさせ、大作だけでなく「北京ヴァイオリン」のような親子の情をきっちりと描いた佳作も撮る、中国が誇る名匠、チェン・カイコー。なんでまたこんな作品を、彼はこの映画で何を描きたかったのか?もしかして、こういう映画好きなのか?職場で赤旗配ってそうな、(冬場はずっとセーターで仕事する)その風貌からえらく真面目くさったオッサンのイメージが強いが、実はお茶目なのか?そういや皆に「出たがりみたいに見えるからやめとけ、て」と言われながら自作に出演し続けている。しかもおいしい脇役なのだ。嫁もおいしい役柄で使ってるもんな。

 意識的にやっとるか、大真面目に作ってるかようわからんですが、おふざけが少し過ぎると思う。せっかく、一流の俳優をそろえてるんだからきっちりとしたドラマを描けよ。上等のマグロをねぎまにしてるみたいもんだ、刺身にせえよ!(意味不明)「アホか!オッサン!」と怒鳴りもせず、演じ続けたキャストがえらい。真田広之セシリア・チャン、チャン・ドンゴン、リウ・イェもそれぞれ素晴らしいが、眉一つ動かさずに「らんま1/2」のパンスト太郎(いや、かっこいい太郎か?)ばりのアホをケレン味たっぷりに演じたニコラス・ツェー、ご苦労様。

 チェン・カイコーはこの役をレスリー・チャンにやらせたかったらしい。ちょっといい話のように思えるが、おそらく断られただろう。

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