風と共に去りぬ<デジタル・ニューマスター版>

風と共に去りぬ<デジタル・ニューマスター版> 2/18 MOVIX京都シアター12
★★★★★
→堪能した。昔の映画ならDVDで随分安く見れるようになった(500円だぞ、500円)世の中だが、やはり名作は映画館で楽しみたいと思う。そうした機会を与えてくれた映画館に感謝したい。最も「風と共に去りぬ」はリバイバル上映が割りとされている作品なのですが。デジタル・リマスター版の上映も少し前に確かあったはず。(うろ覚え)

 今回はデジタル・ニューマスター版である。MOVIX京都はデジタル上映できるスクリーンを持っているので(新館のシアター12)実現できたわけだ。デジタル上映できるスクリーンはまだまだ少なく、TOHOシネマズグループでも大作のデジタル上映を小規模に行っているが(関西では例の閑古鳥映画館TOHOシネマズ高槻にしかない)まだまだである。MOVIXでは拡大公開系のデジタル上映を行っていないので、本スクリーンもこんな機会でないとデジタル上映の機会が無く、日ごろは普通のフィルム上映を行っている。もっとこういう機会を増やして欲しい。宝の持ち腐れである。

 さてさて感想である。ビデオで何回か見た記憶があるのだが、今回見直して前半しか見ていなかったことに気づいた。英語の教材がきっかけになって高校生の頃に見たのだが、タラへの逃亡シーンはよく覚えている。(英語の教科書もそのシーンが使われていた)234分もある映画なのでビデオで一息に見るのはとても無理で前半部分で諦めてしまったのだろう。

 スカーレットは自分を押し通して、強く生きていく女性だが後半の彼女は前半のメラニーを連れて勇ましく逃げていく姿とは一風違い、妹の婚約相手であった実業家のフランクを奪い、しつこくアシュレーにつきまとい、やっとレットと結婚したと思っても、冷酷なほど彼には冷たい、すごく厭な女になっているのである。しかしその彼女が変わる、それがラストの感動につながっていくのだから、そのドラマも生きてくる。「たとえ、盗みを働いても飢えない!」と誓い、零落しきった一族を養いながら生きていくのには、計算高さもそなえた強さがいる。そうした彼女の姿をまざまざと描き出して、その生命力で観客を感動させた演出はさすがであろう。スカーレットのわがままぶりにブチ切れたレットが無理やり、ベッドに押し倒すシーンがあるが、スカーレットが翌朝、鼻歌交じりでご機嫌なのはちょっと大人の風味だ。

 アメリカでの公開は1939年。翌年、アカデミー賞で10部門で授賞するというすごい記録を作っている。1941年、日本はアメリカとの交戦状態に入る。敵国の映画など上映するな、というお達しが出たので「風と共に去りぬ」は当然のように日本で公開されなかった。当時、現物のフィルムを見た徳川夢声は「こんな映画を作っている国と戦っても駄目だ」と日記に書いている。日本は戦争が始まると製作本数がぐっと減らされ、軍人賛美映画以外の製作は許されなかった。

 しかしアメリカでは戦争中においても「風と共に去りぬ」は上映を続け、映画は製作され続けた。そうした国力の違いを夢声さんは映画を見て感じたのである。日本での公開は1952年。既にアシュレー役のレスリー・ハワードが戦死し、監督のビクター・フレミングが死に、原作者のマーガレット・ミッチェルも世を去っていた。映画は時代を超える。この映画でデビューを飾ったビビアン・リーの生き様を含めて様々な逸話を残した映画であった。それも名作の条件であろう。

風と共に去りぬ [DVD]

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風と共に去りぬ スペシャル・エディション 〈4枚組〉 [DVD]

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