同じ月を見ている
同じ月を見ている 11/23 TOHOシネマズ二条スクリーン4
★★★
→多少の不満は残るがまあ及第点で見て損はない作品だと思う。主演は窪塚洋介。私はゲームの「街〜運命の交差点〜」(チュンソフト)や「卓球温泉」の頃(当時はヨースケだった)から窪塚には注目していたので「GO」でブレイクした時にはとても嬉しかった。彼の映画はよく見ていたが「凶気の桜」はさすがに見に行く気がしなかった。その頃から変な愛国主義的な発言からオカルトなことを言い出して、大麻合法発言、カメラマン殴打事件とスキャンダルを繰り返し、挙句の果てに自殺未遂(と言っても差し支えなかろう)で大怪我。本当にこの人もいろいろあった。
が、ひとまず言えるのは「生きててよかった」ということだろう。「刑務所の中」で短時間ながらもあれほど強烈な印象を与える演技ができる俳優がこうして復帰していることを素直に喜びたい。今まで風変わりで独特のキャラクターをさわやかに演じるのが彼の特色で、本作でもドンちゃんのキャスティングが決まっていたそうですが、本人の希望で鉄矢(役名はクマカワテツヤなんだよな。原作もそうなのか?)に変わったそうです。周囲に苛立ちを隠さずに何かに焦りながら生きる青年を等身大に演じていて好感が持てた。オーバーアクションを封じて、かっこ悪いまでに感情を露に怒りをぶちまけるシーンは迫力があってよかった。やっぱこいつはまだまだ伸びるわ。
本作のもう一つの注目点は監督の深作健太であろう。「バトルロワイアル」シリーズは彼の持ち込み企画であって製作主体は深作組であった。が、本作では深作組は参加していない。黒澤満が企画したものであって深作健太にとっては職業監督としての初めての映画です。この二つの点で興味があった。出来栄えは先ほども書いたように及第点であるが、俳優の演技に助けられたなと思った。
東映のお家芸なのか、喧嘩のシーンがやたらに多い。映画のアクセントにはなるが、何回もあるので「またか。。」とちょっとうんざりした。深作健太は第5回日本映画エンジェル大賞に入賞した「エルの乱(仮題)」という企画があるが、この映画に取り組むのにはまだまだ早すぎるだろう。幸い、プログラムピクチャーにテイストが近い「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」(主演は松浦亜弥)を撮ることに決まったし、こういう請け負い仕事をバンバン受けるべきであろう。この人の持ち味はプロデューサーやライターのような裏方の方が発揮されるように思う。演出力はまだまだなので、じっくりとやって欲しい。
窪塚以外のキャストでは金子優作というすごい役名で山本太郎が断然目立っており、気持ちいい演技を披露してくれていた、岸田今日子、三谷昇、松尾スズキと言った芸達者な俳優もがっちりと脇を固めて映画に深みを出している。
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