原ひさ子、死去
役者の中には少しの出番でも深い印象を残してくれる人がいる。その作品全体では大きな役じゃないし、場合によっては台詞すらなかったとしても場をさらってしまう、そういう役者さんがいる。原ひさ子はそういう役者であったと思う。がっついた感じでなくて、自然体でサラリとやってのけてしまう小柄で可愛らしいおばあさんであった。
1933年前進座に入団。映画デビューが山中貞雄の「街の入墨者」で「人情紙風船」にも出演している。東宝に移籍して「わが青春に悔いなし」などに出演し、俳協に移籍している。どちらかと言うとテレビで活躍した女優さんで、ドラマに多く出演していたので、原ひさ子という名前を知らなくても顔は知ってるという方が多いのではないだろうか。これも短い出番だったが「踊る大捜査線」でも、ラストに出演し、後味のよいラストを飾った。他にドラマで思いつくのは古畑任三郎シリーズの鹿賀丈史がゲストの回か。彼女の存在が事件の謎解きのキーとなるのだが、思わず笑ってしまった。
短い出番だが映画でも活躍した。「ファンシイダンス」「ワンダフルライフ」、「三文役者」でも出演シーンをまざまざと思い出す。「三文役者」で竹中直人に肩車されてにこやかに笑っていたシーンが微笑ましい。私の母親が子どもの時から出ていたのだから息の長い女優さんであった。中平康が1959年に撮った「才女気質」。この映画でも既におばあさんであったが、この時で既に50歳なんで当たり前か。しかしこの映画でデビューを飾った吉行和子ももう立派なお婆さんである。随分長くお婆さんをやってたのだ。竹中直人の「サヨナラCOLOR」に入院患者の役で出演。急死した入院仲間(大谷直子)の隣のベッドにポツンと座ってる姿が印象深く、この人がまだ仕事をしているということを無性に嬉しく感じた。これが遺作となった。享年96歳。合掌。
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