鈴木尚之死去
鈴木尚之が亡くなった。享年76歳。桂千穂がまとめた「にっぽん脚本家クロニクル」というインタビュー集で最後を飾ったのはこの鈴木尚之であったのが印象深かった。作品数はそんなに多くないが、名作が多い。まずはなんと言っても「宮本武蔵」全五作。他にも「五番町夕霧楼」「武士道残酷物語」「飢餓海峡」「ちいさこべ」。。と映画史に残る名脚本家の一人だと言っても間違いないだろう。60年代の東映と言うと任侠映画のイメージが強いが、一方では内田吐夢、田坂具隆、加藤泰などの巨匠が時代劇で多くの傑作を残した。鈴木尚之の仕事のほとんどはそうした巨匠との仕事であった。特に内田吐夢との関係は深く、後に「私説・内田吐夢伝」という本も書いている。70年代になるとフリーになり、様々な作品を手がけた。竹中労が仕掛け人だった底抜け超大作「祇園祭」や渥美清が出資して作った渥美プロ製作作品「あゝ声なき友」(鈴木尚之は個人的に渥美清と仲が良く、渥美清が高く評価された「沓掛時次郎 遊侠一匹」や主演作品の「おかしな奴」の脚本も書いている)70年代以降はテレビドラマの世界で筆を奮い、田宮二郎の遺作となった「白い巨塔」などいい仕事を残している。私は名作は映画館で見たいと考えており、鈴木尚之と内田吐夢のコンビの最高傑作と呼ばれる「飢餓海峡」をまだ見ていない。ビデオも持っているんだが三時間もテレビの前に座っている自信がどうにもない。そういやこの人の作品はずいぶん長い作品が多かった。深作欣二、太田浩児、鈴木尚之。この三人は共に東映東京撮影所で青春時代をすごし、三人は終生の親友であり盟友であった。そしてそれぞれ監督、プロデューサー、脚本家として名声を得た。その三人も既に鬼籍の人となった。撮影所育ちの映画人ももうそういう年齢なのだ。合掌。
- 作者: 鈴木尚之
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/03/16
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
- 作者: シナリオ作家協会,「鈴木尚之人とシナリオ」出版委員会
- 出版社/メーカー: シナリオ作家協会
- 発売日: 1998/05
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2002/07/21
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 142回
- この商品を含むブログ (66件) を見る
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2003/03/21
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2003/01/18
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2004/02/21
- メディア: DVD
- クリック: 34回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
- 出版社/メーカー: フジテレビ
- 発売日: 2001/07/25
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
- 出版社/メーカー: フジテレビジョン
- 発売日: 2001/09/21
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 出版社/メーカー: フジテレビジョン
- 発売日: 2001/11/22
- メディア: DVD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る