中内功、逝去

中内功が亡くなった。ダイエーからはほぼ完全に縁が切れて今は中内学園流通科学大学の学園長しか役職はなかったようですけど、ダイエー関係者は色々と思うところがあるだろう。功罪がはっきりしている人ではあるが、戦後の流通界の第一人者であったことは間違いないだろう。一応、商科の出身なのでこの人については色々と学ぶことが多かった。私が学んだ頃は会長に退いていてダイエーはいよいよ没落の道を歩みだしていた。佐野眞一の「カリスマ」が出たのも同時代だ。流通を教えていた先生は、中内功の元側近で色々と面白い話を聞かせてくれた。スーと現れてパーと消えると言われたスーパー業界のビジネスモデルを築いたのはこの人であり、イトーヨーカ堂ジャスコもみんなこの人が築いた道を模倣したのである。ただその通りには模倣せずに自己流にアレンジしたのが隆盛を続けている理由ではあろう。が、松下電器との抗争の中でメーカーに握られていた価格決定権を流通業界に奪取し、コンビニの発展や郊外型スーパーなどを作ったのはみんな、この人である。中内功についての本は必要以上に彼を褒めたたえるものと欠点だけをあげつらうものしかない。功罪についてまとめ、筆者の考え方についても書かれている本は「カリスマ」ぐらいだろう。彼の人生を俯瞰的に見たルポが読みたい。佐野眞一は「東電OL殺人事件」以降はさっぱりなので、新進気鋭のジャーナリストによる仕事を期待したい。それから彼が書いた「わが安売り哲学」も読んでみたい。彼はこの本を自分で絶版にしている。大変忙しい人ではあったが涅槃では安らかに過ごされることを願う。合掌

カリスマ

カリスマ

中内功語録 (小学館文庫)

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二人の流通革命

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中内功200時間語り下ろし―仕事ほど面白いことはない

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