☆夫婦善哉 6/25 シネ・ヌーヴォ(映画監督豊田四郎生誕100年)

夫婦善哉 6/25 シネ・ヌーヴォ(映画監督豊田四郎生誕100年)
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→それまで人気者の喜劇人の一人だった森繁久彌を一気に名優の域まで押し上げたのはこの作品と同年の久松静児の「警察日記」だった。若き日の浅草出身の喜劇人であった渥美清が目標にしたのは森繁であったと言う。いや、渥美清だけでなく、全ての喜劇人にとって森繁の存在はまぶしかったのだ。藤山寛美ですら、「森繁さんにはかなわへん。厭になってしもうた」と嘆息しているのだ。しかも森繁のすごさは俳優としての名前を鳴らしたあとにも一流の喜劇人としてあり続けて、「喜劇 とんかつ一代」や「喜劇 女は男のふるさとヨ」や「社長太平記」などの社長シリーズで人々を大いに笑わせた。まさに「銀幕の天才」であったのだ。その「森繁伝説」の始まりとなったのがこの作品であった。他の人がやったなら、腹が立って仕方ないダメ男でも森繁がやると可愛らしく見えてしまう。「おばはん たよりにしてまっせ」の台詞が厭味に聞こえないというのがすごい。それに気丈に答える淡島千景も頼もしい。はんなりとした、大阪ののんびりとした感じがよく出てて、ため息が出てしまう。

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