☆大誘拐・RAINBOW KIDS 4/29 みなみ会館(喜八ナイト!岡本喜八監督追悼特集)

大誘拐・RAINBOW KIDS 4/29 みなみ会館(喜八ナイト!岡本喜八監督追悼特集)
★★★
岡本喜八監督が自宅を抵当に入れてまで完成させた作品。松竹喜劇の旗手、前田陽一の作品に「喜劇・大誘拐」というのがあってストーリーが似ていたために当時はそれのリメイクと誤解したマスコミもあったが、全くの無関係。岡本喜八はコメディ調のものは多く撮ったけど「喜劇」と言うと少し違うような気がする。この映画はなんと言っても北林谷栄に尽きますな。宇野重吉滝沢修がいた劇団民藝の出身で黒澤明木下恵介今井正新藤兼人と様々な映画監督と組んだが私が印象に残ってるのは松竹喜劇の目をぎょろつかせたおばあさん姿と「月曜日のユカ」の母親役だな。和歌山の大金持ちのおばあさんを好演。上品で物腰柔らかに若者たちを操る様が面白い。ストーリーはテンポよく、さくさくと大きなカーブを描くように観客の期待を裏切って進んでいく。緊迫感は感じられないが、映画の行く末をわくわくしながら見守ることができる。ヘリコプターのシーンなどその典型だろう。「東京」こと新米刑事の嶋田久作の日誌で時間軸を進めていく手法も面白い。惜しむらくは風間トオル以下の若手の力不足だな。豪速球で鳴らした投手がベテランになって変化球投手で見事に完封を成し遂げたような作品。オールナイトは満員とはいきませんでしたが8割ほどの入り。京都の規模から言うと充分でしょう。岡本喜八監督は昔から好きで「こんなの喜んで見てるのは俺ぐらいだろう」と思ってましたが、ファンはあちらこちらにいて、人気のある監督だったんだなと恐れ入りました。死ぬまで次回作に執着したその活動屋魂にも恐れ入る。合掌。

大誘拐?RAINBOW KID [VHS]

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kihachiフォービートのアルチザン―岡本喜八全作品集

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