☆殺人狂時代 4/29 みなみ会館(喜八ナイト!岡本喜八監督追悼特集)

☆殺人狂時代 4/29 みなみ会館(喜八ナイト!岡本喜八監督追悼特集)
★★★
→1967年の作品。「江分利満氏の優雅な生活」「侍」「大菩薩峠」など現代劇、時代劇、ギャング物と名実ともに東宝のエースだった岡本喜八でしたが、本作はあやうくオクラ入りになりかけたそうです。(封切一週間前になって公開延期が決定。半年後に封切られたが宣伝もほとんどなしで会社創立以来の不入りと言われたらしい)は岡本喜八お得意の切れ味鋭いアクションをコメディ風味に味付けしたギャングもので日活の映画みたいな雰囲気を持っているのだが、それが東宝のカラーに合わなかった。日活で別の監督が宍戸錠主演で撮る予定だったらしいがどういうわけか、東宝が撮る事になった。岡本監督にしたら持ち込み企画でもなくて、会社から撮れと言われて撮ったのにオクラにされた。一滴も飲めなかった酒をたらふく飲んで、ふてくされてたところを東宝の大プロデューサーだった藤本真澄の鶴の一声で大作「日本の一番長い日」の監督に抜擢されたとの逸話も残っています。題名とナチスがやばかったんでしょうかねえ。一回目見た時にはそんなに面白いとは思いませんでしたが、見直し見てみたら案外に面白かった。ストーリーはもう一つで主演の仲代達矢も冴えませんが、なんと言ってもマッドサイエンティストを演じた天本英世に尽きます。自身の殺人芸術をうっとりと語るシーンが圧巻。映画秘宝に載った佐藤允のインタビューによると天本英世ってアナーキストで政治的な活動にも参加してて、国の世話にはならないと健康保険にも加入していなかったらしい。*1

*1:同じくアナーキストだった竹中労も晩年まで加入してなかった。