カナリア

カナリア 4/23 京都シネマ
★★★★★
→今最もその活動が注目されている監督の一人、塩田明彦の作品。「誰も知らない」のように大人の世界にさらされた子供の物語ではあるが、そのメッセージ性はより強烈。オウム事件を題材に、ひりひりするほどのリアリズムを貫きながらもラストで現実を飛び越えてみせる展開を見せてくれる。泣けるラストを期待していた人は裏切られた気持だろうが、俺はこの力強いラストを大いに支持する。谷村美月がいい。「まんてん」の時は本当に小さな女の子だったのにこんな力強い演技できるようになったとは。次回作も楽しみ。石田法嗣は「バーバー吉野」の東京から来たおしゃれな子供の印象が強かったけど、恐ろしい目つきをしてましたよ。大人を代表するのは西島秀俊甲田益也子西島秀俊の特性ってのは、空気になじまないのままに嫌悪感のない存在感を発揮するところにあると思うのだが脱会した信者という役柄はその特性にまさにぴったりであった。甲田益也子も必死になって生きている女という感じがよくでていた。それから盲目のおばあさんを演じた井上雪子。何でもないシーンであるのだが、鶴を折るシーンでは思わず涙がこぼれてしまった。「月光の囁き」のつぐみと水橋研二の使い方もうまい。「銀色の道」をはじめとした音楽の使い方も秀逸でサントラも買いです。

オリジナル・サウンドトラック カナリア

オリジナル・サウンドトラック カナリア