カンフーハッスル(字幕版)

カンフーハッスル(字幕版) 2/3 MOVIX京都シアター7
★★★★★
→星爺(チャウ・シンチー)の映画が面白いのは何よりもまず観客を楽しませるという香港映画スピリットを最も受け継いでいるからであろう。「少林サッカー」のヒットにより日本でも知られる存在になった星爺であるが香港では昔から大スターであり、ヒット作を出し続けている監督であり、敏腕プロデューサーでもある、香港を代表する映画人である。

 しかし、そうなっても彼の映画のスタイルは変わらない。大作でもないし、評論家から褒められるような映画ではない。めっちゃ馬鹿な映画を青筋立てて、てりもひねりもなく、本気で撮っているのだ。そこにあるのはあっけらかんな、子供がキャッキャッと笑い転げるほどのわかりやすい面白さであり、「つぎどうなるんやろ」というドキドキ感とワクワク感を添えて、観客を大いに楽しませてくれる。

 本作は星爺が尊敬するブルース・リーにオマージュを捧げたカンフー映画であるが、その流れるスピリットは変わらない。相変わらず、アホやってるし、面白い。但し、本作はそういうアホなとこも楽しいがアクションシーンが大変見ごたえがある。特に豚小屋砦での3人の達人(人足、オカマの仕立て屋、麺打ち職人)が斧頭会と戦うシーンが圧巻である。後半になればなるほどアクションはCG頼みになっていくが、まああんまり気にするな。ひとつ残念なのは香港の志村崇ことン・マンタが出てないことぐらいか。テンポも素晴らしく、気分が落ち込んだ時に見ると心が晴れる。

 私は星爺の映画に流れる「駄目男が自信を取り戻していく」というテーマが心の琴線に触れまくりで「少林サッカー」ですら、ダメ男だった兄弟子達が自信を取り戻すところで泣きそうになってしまう。本作でもアイス屋の少女とのエピソードや大家夫婦の会話でうるうる来てしまった。やっぱりこの人の作品は見逃せないわ。