日本インターネット映画大賞・日本映画部門

頼まれもしませんが、今年も投票しておきます。ベストとおりに投票しとけばいいんですが、どうせ一位は「フラガール」で上位に上がる作品は予想できますので、票が伸びないと思う作品に票をいれておきます。昨年も私の1票だけって作品が割りとありましたしね。

『 日本映画用投票フォーマット 』

【作品賞】(5本以上10本まで)
  「紙屋悦子の青春」   10点
  「犬神家の一族」     2点
  「寝ずの番」       2点
  「ヨコハマメリー」    5点
  「パプリカ」       2点
  「暗いところで待ち合わせ」2点
  「ただ、君を愛してる」  2点
  「御巣鷹山」       2点
  「バッシング」      2点
  「県庁の星」       1点
【コメント】
人気のある作品は褒めなくても誰もが見るので、地味だがぜひ見ていただきたい作品を中心に選んだ。
紙屋悦子の青春」は日常から戦争を描くことに成功した、素晴らしい作品である。「犬神家の一族」は名匠市川箟の仕事をリアルタイムで見て欲しいので入れた。「寝ずの番」は不満もある作品だが、ブラックユーモア、下ネタという笑いの一面にクローズアップされた作品で、テレビでは絶対にできないことに挑戦した心意気を高く買う。DVDで見られるときにはこっそり一人で見てね。「ヨコハマメリー」は都市伝説をめぐるドキュメンタリーで横浜という街を独自の視点で切り取った意欲作である。横浜在住の人は絶対に見ておこう。「パプリカ」は夢という、どうしようもなく自己本位で身勝手な、夢というものが現実化すると如何に迷惑か、その狂った状態を表現し、同時に、その自己本位から生まれる、夢の愛らしさを表現した見事な映画である。アニメで何ができるかをしっかり考えて作られた快作である。「暗いところで待ち合わせ」は盲目の少女と殺人の容疑がかかわった台湾人の青年(少女はこの青年の存在に気づいていないのだ)の奇妙な同居生活が描いた不可思議なドラマのように見せながらラストにはサスペンスになっていて、そのストーリーの進め方のテンポが大変によろしい。田中麗奈が久しぶりにその卓抜した演技力を発揮できた作品でもある。「ただ、君を愛してる」は単純なストーリーにありきたりなラストの韓国映画の模造コピーだが宮崎あおいの演技に玉木宏の二枚目半的な存在感が作品を高みに押し上げている。なんとも不思議な作品。「御巣鷹山」は巡業映画監督渡辺文樹の作品で神出鬼没に現れて、不気味な手書き短冊をベタベタ貼り付けたポスターを会場周辺に貼りまくり、自らが映写機を回して映画を上映していき、ポスターを片付けずに去っていく。まさに現代の都市伝説である。文樹が街に現れたときには興味本位でも何でもいいので、いっぺん見て欲しい。作品のよしあしとか、評論家みたいなこと抜かすな!「バッシング」はイラク人質事件を描いた作品で、閉鎖的な田舎町を舞台にバッシングを受けて暮らす家族の暮らし、心中を気分悪いくらい、リアルに描いている。占部房子の代表作になるだろう。「県庁の星」はメジャーな作品ではあるが、映画ファンには敬遠されていると思うので挙げておく。メリハリがきいたドラマの進行、適材適所なキャスティング、そして前半に張った伏線をきっちりいかして、後半に盛り場を作っている。全盛期のプログラムピクチャーを見てるように爽快な作品であった。時代と格闘しながら自分の居場所を探していく、織田裕二はこういう役が抜群にうめえ。

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【監督賞】
   [黒木和雄] (「紙屋悦子の青春」)
【コメント】
今年も多くの映画人が亡くなったが、第二の黄金期を迎えていた黒木監督の死はショックであった。もっとこの人の作品を見たかったと思う。

【主演男優賞】
   [石坂浩二] (「犬神家の一族」)
【コメント】
「ゆれる」のオダギリジョーもよかったが、久しぶりの主演である石坂浩二を挙げたい。何しろ、30年前の作品で同じ監督、同じ主演俳優でリメイクするというのがすごい。しかもそんなに違和感がないのもまたすごい。

【主演女優賞】
   [田中麗奈] (「暗いところで待ち合わせ」)
【コメント】
今でこそ隆盛しつつある日本映画であるが、90年代後半の暗黒期に彗星のように現れたのは「がんばっていきまっしょい」の田中麗奈であった。本作の彼女を見て、久しぶりに「がんばっていきまっしょい」で彼女を見た時を思い出した。何でもできる器用な女優さんであるが、こうした演技力をじっくり見せる作品の彼女がいい。


助演男優賞
   [香川照之] (「ゆれる」「バッシング」)
【コメント】
「ゆれる」で演じた役柄は強烈であった。弟のオダギリジョーが見た真実が、兄の香川照之の言動、行動でぐらりと揺れていく。感情を押し殺したように、覇気のない目が雄弁に感情を描き出す、突然感情を破裂させたり、「変なの」と子供のようにぼそりとつぶやいたり、と正体不明の、情緒不安定なのか芝居なのか、わからない男を好演。あわせて、新歌舞伎座の「妻をめとらば」の与謝野鉄幹役も印象的であった。元々、演技のうまい人であったが年々すごくなってきている。

助演女優賞
   [本上まなみ] (「紙屋悦子の青春」)
【コメント】
なんで、本上まなみやねん、お前が好きなだけやろ、と思われるかもしれないが半分は正しい。(笑)はっきり言って、演技のセンスがない人なので、女優として大成することはないだろうが、本作の彼女はよかった。旦那をポンポン言い負かす、しっかり者のおかみさんを好演。小林薫という、受けのうまい役者が相手だからできた演技だが、二人の掛け合いは映画の中で最も好きなシーンだ。「らっきょうはらっきょうらしく、食べたい」という台詞で戦時下の空気を匂わせてしまう。これは黒木監督の力であるが、本上まなみの普通っぽさが平気なように見えても必死に生きていた戦時下の人々をうまく出していた。いい監督と出会えば伸びるかも?と思うが、こんな彼女を見れるのは本作だけだろうし、挙げておく。

【新人賞】
   [北川景子] (「間宮兄弟」)
【コメント】
とにかく圧倒的にかわいい。ピカピカ光ってました。いい女優になりそう。

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