映画の秋!11月は高槻松竹セントラルに通いつめろ!

 全国800万人(適当)の日本映画ファンの皆さん、こんばんわ。以前に当ブログでもお伝えしていた高槻松竹セントラルの「不滅の時代劇傑作選5」ですが詳細が決まったようなのでお伝えしておきます。毎度毎度のことですが、すごいラインナップです。

Aプロ
真田風雲録 1963年
ミスター時代劇、特にちゃんばら時代劇はこの人抜きでは語れない!加藤泰監督の傑作だ!主演は時代劇最高の名優と断言して間違いない、中村錦之助だ!ミッキーカーチスも出てるぜ!

ジャズ大名 1986年
岡本喜八監督の後期代表作品のお目見えだ!題名でクスリと笑ったあなたは本編で腹を抱えてひっくり返れ!殿山泰司財津一郎古谷一行三者三様の「イエイ!」に本田博太郎の「アーハー?」を胸に刻みつけろ!


Bプロ
幕末残酷物語 1964年
加藤泰が人斬り軍団新撰組をリアリズムたっぷりで描いた傑作。これを見ると他の新撰組ものがアホらしくて見る気を無くす!みんな大好きな土方歳三を演じるのは西村晃だ!内田良平木村功、大友柳太郎、河原崎長十郎の脇役陣が豪華すぎて主演の大川橋蔵藤純子が少しかすむが、最後まで目を離すな!そして心にトラウマを背負え!

日本暗殺秘録 1969年
笠原和夫中島貞夫の怪作が遂に高槻松竹セントラルにお目見えだぜ!豪華キャストの出演の少なさには少しがっかりだが、片岡千恵蔵の迫力に目を見張れ!味噌汁についてくどくど説教するシーン絶品だ!千葉真一が夜明けの海に向かって一身にお題目を唱えるシーンは某宗教団体の信者なら胸が熱くなるはずだ!青年部の研修などに如何か!


Cプロ
御用牙 かみそり半蔵地獄責め 1973年
己の肉体と肉棒で世の中を正す「御用牙」シリーズの第二弾!原作は世界にその名を轟かす小池一雄!半蔵を演じるのは勝新太郎!エログロ爆発の怪作だ!男は整列じゃ!整列!でも監督は増村保造で撮影が何と宮川一夫なのでやはり女性も必見だ!穴ブラザーの西村晃も大活躍だ!(多分)

大菩薩峠 1966年
近代小説の中で最もニヒルで酷薄と言われた机龍之介を演じるのは仲代達矢!監督は時代劇も滅法うまかった岡本喜八市川雷蔵版とは比べるな!


Dプロ
忍びの衆 1970年
東映のプリンス松方弘樹を迎えて撮った忍びの者シリーズ第九作。主演も変わっている(市川雷蔵でしたがこの前年に死去)のでシリーズ作ではないと思うが、監督は大映の誇る名監督、イッショウさんこと森一生!ハズレはない!(多分)秀吉を演じるのが戸浦六宏ってのがポイントだ!

新撰組 1970年
三船プロ大型時代劇の1本だ!監督が沢島忠なんでハズレはない!(多分)近藤勇三船敏郎沖田総司北大路欣也ってのはさもありなんだが、芹沢鴨三國連太郎土方歳三小林桂樹ってのがなんともファンタジスポだ!

Eプロ
待って居た男 1942年
目明しの長谷川一夫が海外小説の探偵ばりに推理を働かせるサスペンス時代劇!戦争中で町に食い物がなかったので、田舎の温泉でロケしたら食い物たっぷりあるだろうと企画したのは監督のマキノ正博!そのせいか、榎本健一高峰秀子山田五十鈴と妙に共演が豪華だ!

斬る 1968年
「不滅の時代劇傑作選」の常連、岡本喜八監督の時代劇!(過去の傑作選を見ても岡本喜八は必ずある)喜八特有のスピーディーな演出、機関銃のように繰り出される言葉の応酬に身を振るわせろ!!もちろん、天本英世中丸忠雄も登場だ!


Fプロ
日本誕生 1959年
東宝1000本製作を記念しての作品は日本神話だ!稲垣浩の演出、円谷英二の特撮、三船敏郎鶴田浩二を初めとする豪華キャストに魂を抜かれろ!上映時間は3時間だ!長すぎる!

運が良けりゃ 1966年
落語の面白さをそのまま映画の文法に置き換えてしまった才人・山田洋次監督の初の時代劇!落語好きなあなたも知らないあなたもとりあえず見とけ!


Gプロ
一本刀土俵入り 1957年
ご存知、長谷川伸の名作を加東大介主演で映画化!メガホンを握るのはヒロポン中毒から見事に復帰したマキノ雅弘!(まあ中毒中もメガホン握ってましたけど。。)原作は読んでない人もファンも見ておこう!

血槍富士 1955年
巨匠・内田吐夢の日本帰国第一作!東映はこの作品から始まったと言っても過言ではなかろう!主演の片岡千恵蔵をして「あれはドラマであって、チャンバラではない」と言わせしめたラストの立ち回りは必見!立ち回りの意味をくるりと変えてしまう独創性に酔え!

 三週間の時代劇傑作選に引き続き、12月2日からはシネマヴェーラ渋谷で好評を博した次郎長三国志シリーズの上映が始まる!今回は東宝マキノ雅弘が撮った次郎長三国志シリーズ8作(9作あるのだが、最後の作品は前編のみで打ち切りになったので今回は外したとか)が連続上映だ。土日で一気に8作見てしまうのもよし、平日の仕事帰りに二本ずつで4日通うのもよし、とりあえず駆けつけねばならぬ!蓮實重彦はまた見に来るのか?今年の師走は忙しいぞ!

 なお、9月22日でサスペンス傑作選2が終了。7プロ中、6プロ見た。「悪の階段」「太陽を盗んだ男」「飢餓海峡」「みな殺しの霊歌」「告訴せず」「復讐するは我にあり」「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」「盲獣」「帝銀事件・死刑囚」「黒い潮」「わたしを深く埋めて」「この子の七つのお祝いに」(「青春の蹉跌」と「青春の殺人者」の二本立てはパスした。「青春の殺人者」はビデオで見たが、市原悦子が殺されるところがキツくて映画館で見る度胸がなかったのだ)と荒れ狂う日本映画の荒波に放り込まれたように、その魅力に翻弄された3週間であった。。。さすがに疲れました。仕事帰りに二本見るのは結構キツイ。21日に「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」「盲獣」の二本立てを見たんですが、途中から腹が痛くて仕方なくなって、二本目の「盲獣」の時は死にそうになってました。奇形人間の祟りですな。。(おお、こわ)「告訴せず」はつまらなかったですが、他の作品は傑作ぞろい。特に「飢餓海峡」を映画館で見た感動は筆舌に尽くしがたい。おおきに、高槻松竹セントラル。ビデオで見ていたが、スクリーンで見て感動を新たにした「太陽を盗んだ男」「復讐するは我にあり」「帝銀事件・死刑囚」も忘れがたい。「悪の階段」「みな殺しの霊歌」は目立たないが隠れた傑作で監督、俳優の違った一面が確認できた。「この子の七つのお祝いに」は血がドバドバ出る映画だが一番怖かったのは岩下志麻のセーラー服で、増村保造ってのはとことんすごいなと思ったぞ。また感想は書きますが、考えてみたら5月にやったサスペンス傑作選の感想も書けてないんだよな。。今月、新作は「グエムル 漢江の怪物」と「キンキーブーツ」しか見てねえ。明日あたり、みなみ会館の「緑茶」か京都シネマの「紙屋悦子の青春」あたり見にいきてえなあ。。ああ、時間がたりねえ。もう一つ体が欲しいぜ。

 あ、高槻松竹セントラルでは10月7日から女性映画傑作選12もスタートするよ。釜ヶ崎を描いた「野良猫」(1958年)や野村芳太郎の「暖流」(1966年)あたりが楽しみだな。