今年もやるでよ 「キネマの星座」上半期ベスト

 今年も半分終わりました。1月から6月まで見た映画は77本。昨年の108本に比べるとはるかに遅いペースで目標の200本鑑賞も難しくなってきました。しかも見ているうちの33本が旧作で新作は44本のみ。現役の映画ファンとしても怪しくなってきました。が、特に日本映画ですが見たいと思わせる新作が少なくなっているのも事実。世間では日本映画にお客が入って入って、もう困っちゃう状態だそうですが、さっぱり理解できません。ラリってるのか?

 まあとにかく今年も上半期ベスト10.まずは外国映画から。

1、ミュンヘン 2/4 TOHOシネマズ高槻スクリーン8
2、プロデューサーズ 4/13 TOHOシネマズ高槻スクリーン2
3、ヒストリー・オブ・バイオレンス 4/15 MOVIX京都シアター1
4、エミリー・ローズ 4/15 MOVIX京都シアター1
5、ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! 3/26 MOVIX京都シアター8
6、ホテル・ルワンダ 3/2 みなみ会館
7、プラハ! 6/16 第七藝術劇場
8、SPL/狼よ靜かに死ね 3/21 天六ユウラク
9、トム・ヤム・クン! 5/3 TOHOシネマズ二条スクリーン3
10、アサルト13 要塞警察 3/3 TOHOシネマズ二条スクリーン2

次点 オリバー・ツイスト 2/5 TOHOシネマズ高槻スクリーン7

今年の上半期は何と言っても「ミュンヘン」に尽きる。社会問題を背景に登場人物の思いを織り込んで、見事なドラマに作り上げている。撮影も大変に美しい。「プロデューサーズ」「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」は圧倒的な面白さで楽しい時間をすごすことができた。これを映画館で味わうのは格別の贅沢である。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」はキャストが適材適所で最後まで筋が読めない、緊迫感を持ったドラマを作り上げている。エド・ハリスには早く、賞をあげてくれ。「エミリー・ローズ」はホラー映画の形をとりながらもアメリカ人にとってのキリスト教を描いており、興味深かった。「ホテル・ルワンダ」はヒーローものの題材を等身大の人々のドラマに描いたのがうまい。ドン・チードルの起用がうまい。「プラハ!」は動乱に入る前のチェコを描いた映画で社会事情を織り込みながらもそれにとらわれずに、若者の青春を気持ちよく描いている。女の子が皆、かわいい。暴れまくるサモハンはやっぱりかっこいい「SPL/狼よ靜かに死ね」にトニー・ジャーの身の張り方がすさまじい「トム・ヤム・クン!」に簡単なドラマを凝ったつくりで見せてくれた「アサルト13 要塞警察」もよかった。次点になった「オリバー・ツイスト」はいい作品だが、なんでまたロマン・ポランスキーが監督なのか。

続けて日本映画

1、間宮兄弟 5/26 京都シネマ
2、花よりもなほ 6/3 TOHOシネマズ高槻スクリーン6
3、運命じゃない人 2/2 大津京町滋賀会館シネマホール
4、シムソンズ 5/3 みなみ会館
5、寝ずの番 4/23 MOVIX京都シアター7
6、かもめ食堂 6/4 京都シネマ
7、シネマ歌舞伎 坂東玉三郎・鷺娘(DLP上映)同時上映:日高川入相花王 6/28 MOVIX京都シアター12
8、嫌われ松子の一生 6/3 TOHOシネマズ高槻スクリーン3
9、三年身篭る 6/29 同志社大学寒梅館ハーディーホール
10、佐賀のがばいばあちゃん 6/17 MOVIX京都シアター12
次点 ALWAYS 三丁目の夕日 1/21 京極東宝

第二の黄金期を予感させる、森田芳光の「間宮兄弟」を筆頭に今年もミニシアターの作品で意欲的な作品が多かった。「花よりもなほ」は仇討ちを縦軸に横軸に落語をおいて、楽しい群像劇になっている。山田洋次の「運が良けりゃ」を思い出した。「運命じゃない人」は脚本の作りがうまく、中盤からの折り返しが面白く、最後まで楽しめた。「シムソンズ」はカーリング人気で注目された映画だがシンプルなストーリーを丁寧に描いた佳作で好感が持てた。「寝ずの番」は様々な不満もあるが、まあ面白かった。「かもめ食堂」は小林聡美人気を当て込んだ作品だが、監督の萩上直子がきっちりとした仕事をこなしている。シネマ歌舞伎の第二弾となる「坂東玉三郎・鷺娘」は玉三郎の舞をたっぷりと楽しめる。この企画はもっと続けて欲しい。「嫌われ松子の一生」はちと長いが、主演の中谷美紀が素晴らしく、豪華キャストを加えた彼女のワンマンショーみたいな味わいがある。「三年身篭る」「佐賀のがばいばあちゃん」は地味な作品だが、キャストを駆使してうまくドラマを展開させている。

ワーストは以下の5本

1、青いうた 6/23 京都シネマ
2、スクールデイズ 3/23 みなみ会館
3、スキージャンプ・ペア Road to TORINO 2006 2/17 みなみ会館
4、PROMISE 2/19 TOHOシネマズ高槻スクリーン1
5、レント 5/6 MOVIX京都シアター6

「青いうた」「スクールデイズ」は金取れる作品じゃない。反省して欲しい。「スキージャンプ・ペア Road to TORINO 2006」はこんなもんを金とって見せんな、の一言で見に行った私の目がfusianasan。「PROMISE」はチェン・カイコーの中の人が入れ替わったとしか思えん。「レント」はミュージカルって基本的に疲れるもんであることを再認識させる作品だった。 


日本映画がつまらんのは、渡辺祥子のような下等物件が映画評論家を名乗れる評論家不在の映画評論にかなり原因があると思う