イン・ハー・シューズ - ほぼ日本映画専門サイト「キネマの星座」

●イン・ハー・シューズ　１２／９　TOHOシネマズ二条スクリーン４
→「ＬＡコンフィデンシャル」のカーティス・ハンソンの監督作品。一人、一人のキャラクターをきっちり丁寧に描き出して濃密なドラマを描き出していく。カーティス・ハンソンはこうしたドラマ作りがとてもうまい。しかしいつも思うことですが、このそのままな邦題はなんとかならんのか？

　姉のローズは容姿にコンプレックスがあり、恋愛があまり得意でない。仕事はよくできるのだが、仕事を生きがいにして一人で生きていくのは無理だと思っており、ストレスがたまると靴の衝動買いをしてしまう癖を持っている。ローズを演じるのはトニ・コレット。容姿に自信がない女性を演じるために体重を増やしたらしい。

　一方、妹のマギーは姉と対照的にルックスとスタイルに優れており、ファッションのセンスもいい。当然男にはよくモテる。男のもとを渡り歩く自堕落な生活を送っている。最も彼女も好きでそんな生活をしているわけではない。実は彼女は難読症で本をスムーズに読むことができない。そのために学校では劣等生扱いされて、ロクな仕事に就くことができない。さらに他人の家でお金や物を物色してしまう悪い癖まである。演じるのはキャメロン・ディアス。ますます可愛くなっている。大作に出る一方でこうした佳作に出るのが彼女のスタイルになっているが、これからも頑張ってほしい。

　ローズの元に転がり込んできたマギーだが、またまた悪い癖がでてローズの恋人と寝てしまう。怒ったローズはマギーを追い出す。マギーが向かったのは彼女らの祖母であるエラのもとであった。エラを演じたのはシャーリーン・マクレーン。若い頃の「アパートの鍵を貸します」も印象的だが、年をとってからの「夕べの星」の名演も素晴らしい。本作でも落ち着いた祖母をうまく演じている。

　ゆったりとしたテンポでドラマを運び、やがて彼女たちの母親について描いていく。母親は一度も登場しないのだが、その母親像がくっきりと観客に想像できるようなドラマを展開させていく。ラストまでたっぷり楽しめる映画でした。