メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
●メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 4/29 みなみ会館
★★★
→現在、なぜか吉野家のCMをやってるトミー・リー・ジョーンズの初監督作品。題名が長い。原題をほぼ直訳にしたもんだが、英語の響きと日本語の響きは全然違うので、配給会社はもう少し工夫して欲しい。
内容はあるカウボーイが不慮の死を遂げたメキシコ人の友人の遺体を故郷にまで送り届けるロードムービー。宗教や人種、法律を超えた、男の友情を色濃く描いており、極めて簡素に作っているのでわかりやすい。題材はわかりやすいのだが、時間軸を微妙にずらしているのではじめはメルキアデスが何物なのか、よくわからなかった。もしかしてここに流れてくるメキシコ人はみんな、メルキアデスという名前なのかとさえ思ってしまった。後半以降は映画の内容もわかり、ゆったりと見ることができた。
テキサス州のこの町には保安官とは別に国境警備隊がおかれている。隣国メキシコからの越境者を見張るのが彼らの仕事だ。しかし、町には不法入国してきたメキシコ人がおり、町の中に溶け込んでいる。メルキアデスもその一人であったが、ある日死体で発見される。友人のピートは保安官に犯人を捜して欲しいと頼むが、「メキシコ人が誰に殺されようが俺は興味が無い」とすげなく、追い返されてしまう。メルキアデスの命を奪った銃弾から国境警備隊のマイクによる誤射であることを突き止めた彼はマイクを誘拐。マイクを連れて、メルキアデスの遺体を馬に乗せて、彼の故郷に向かう。ピートはメルキアデスと約束をしていた。「俺がもし死んだら故郷に葬って欲しい」
マイクを演じたのはバリー・ペッパー。「グリーンマイル」の看守役や「プライベートライアン」で寡黙な狙撃兵を演じていた俳優さんですな。ジョン・トラヴォルタの底抜け脱線作「バトル・フィールドアース」で主演もやっている。(ネズミ食わされた)何故彼がメキシコまで連れてこられたか、それがこの映画の謎になっている。トミー・リー・ジョーンズ演じるピートが何故彼を連れてくることにこだわったのか。わけのわからないまま連れてこられたピートは彼に怒りを覚え、観客はピートに不可思議さを感じます。その謎がラストで見事に明かされるのが、なかなかの見せ場になっています。バリー・ペッパーの演技がすごくいいのだ。
静かな自然を背景に簡潔なドラマを丁寧に描く。派手さはありませんし、前半が少し退屈ですが、見ごたえはあります。ゆったりと壮大な音楽もいいです。
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