★映画監督って何だ! 2006年 日本映画監督協会70周年記念映画

映画監督って何だ! 3/2 京都文化博物館映像ホール
★★★
二・二六事件の夜に結成された(よく考えるとすげえな)協同組合日本映画監督協会が今年2月に迎えた創立70周年を記念して製作した作品。「映画監督とは何か」というテーマから映画監督の著作権まで広く扱う作品で伊藤俊也が久々にメガホンを握った。日本映画監督協会創立70周年祝賀パーティーで披露されているが一般に公開されるのはこの日が初めて。伊藤俊也監督の舞台挨拶もあった。

 ドキュメンタリー、劇映画、インタビューを交えて構成されている。主演の小泉今日子を除いてほぼ全てのキャストを映画監督が演じているのが見物。時代劇パートでは監督の仕事を紹介。小栗康平の浪人(あまりにも似合いすぎてツッコミにくい)に阪本順治の花魁姿(本人がすごく緊張してるのがわかるが、少し面白いぞ)に若松孝二の悪徳大家(上田吉二郎にしか見えない)が大暴れのちゃんばらを披露してくれる。

 その後、活動写真の弁士として登場した小泉今日子が歴史探偵さながらに映画の著作権について再現劇を交えて解説してくれる。手法は古臭いが、どうして映画の著作権が会社が持つようになったかを非常にわかりやすく解説している。国会審議のシーンは臨場感たっぷりに描いていて、当時から映画の著作権が映画会社のものだ、という政府の見解には相当に議論があったことがわかる。大映や日活が残ったのは結局、コンテンツ(いやな言い方だ)が魅力的だったわけで会社さえ入手してしまえば、作品でいくらあこぎな金儲けしてもいいわけだ。五社協定に見るように当時の映画界では映画会社の力がすごく強かった。東宝藤本真澄の「戦後、戦争映画を作ったことで裁かれたのは映画会社だけで監督は全く戦犯にはなっていない。責任を負うものが権利を持つべきだ」というめちゃくちゃな意見陳述が当たり前だったんだから、当時の映画会社は強かったんだなあ、と思う。

 後半は監督のインタビュー集に三人の監督による五所平之助監督の「煙突の見える場所」の1場面の映像化。誰が出てくるかはお楽しみ。そしてラストに出てくるのはあの監督だ。監督ばっかりのキャストというのは文士劇を思わせる。多分、文士劇もこんな感じだったんだろう。どこか大仰に演技する監督達が微笑ましく思えてしまう。劇中に鈴木清順が登場するが鼻に管を突っ込んでおり、大丈夫なのかと思ってしまうがへらへら笑ってましたのであと10年は現役でおるでしょう

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