☆オールド・ボーイ

オールド・ボーイ 2/11 みなみ会館
★★★★★
→知り合いの掲示板でこの作品のラストを書き込み、こんな映画なんか見るな!と強く訴えた書き込みがあった。好きであろうと無かろうと映画の評価は小泉じゃないが、「いろいろ」なんである。どんなひどい映画にだってファンがいるし、(おれは世間で散々な評判だった「レディ・ジョーカー」が実は結構好きだったりする)名作と誰もが認める映画でも吐き棄てるようにクソ扱いする人もいる。どんな理由をつけようが荒らし行為であろうよ。

 まあそれはさておき、この映画は相当に好き嫌いが別れる。特にラストである。私もはじめ見たときには拒否感の方が強かった。ラストが衝撃的すぎて映画の出来栄えを素直に評価できなかった。それぐらいインパクトのあるラストであると思う。しかしどうにも気になる作品なのでもう一度見に行ったが、やっぱりこの映画は傑作だ。

 15年間、わけのわからないままに監禁されたオ・デスは復讐の鬼となって娑婆に帰ってきた。犯人のイ・ウジンは自ら姿を現す。すぐに殺すことができたが、「なぜ自分が監禁されたのか、謎を解きたくないか?」とゲームを持ちかけられる。。その際の台詞がすごい。「復讐は体にいい。今のお前から復讐を取ったら何が残る?」確かにオ・デスにとって今や復讐は彼の生きる意味にすらなっていたのだ。そして、その謎を解いた時に「復讐する側」と「復讐される側」が逆転していたことを知る、とまあすごい作品なんである。

 このぶ厚いテーマに耐えうる脚本もすごいがややこしい話をテンポよく、描いていくパク・チャヌクの演出力もすごい。そして暴力描写が痛い。自分が殴られているような印象すら受けるほど暴力描写がリアルだ。暴力と言うのは肉体と肉体がぶつかり合う、どちらにも益の無い行為であることがよくわかる。それと同じで復讐は「復讐する側」と「復讐される側」がぶつかり合う。

 「復讐者に憐れみを」「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」はパク・チャヌクが復讐三部作と名付け、復讐をテーマにした作品である。パク・チャヌクは復讐を「ぶつかり合った両者とも破滅に向かう」と考えており、「オールドボーイ」はそうした復讐の特性を最も意識した映画になっていると思う。

 原作は日本の同名の漫画。パク・チャヌクは漫画オタクであるポン・ジュノ(「殺人の追憶」)に薦められても読んだそうです。漫画自体は連載当時からそんなに話題になってなかったし、よく見つけたと思います。映画を見た後に読みましたが、映画とはテーマが全く違っており、こちらも面白いです。主人公の性格が全然違う、ハードボイルドなストーリーになっています。

 キャストではなんと言ってもチェ・ミンシクが素晴らしすぎます。目をギラギラと輝かせながら、復讐に燃える鬼ですがどこか滑稽で中年男の憐れさも感じさせる見事な演技でした。対象に何を考えているかさっぱりわからん不気味さを醸し出していたユ・ジテもミトを演じたカン・ヘジョンの透明感がある少女役も見事でした。セックスシーンもあります。

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オールド・ボーイ オリジナル・サウンドトラック(CCCD)

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