キング・コング - ほぼ日本映画専門サイト「キネマの星座」

●キング・コング　１２／２９　TOHOシネマズ高槻スクリーン７
★★★★★
→力作である。大きなドラマ展開がない物語なのに、しかもリメイクものだからストーリーは皆知ってるわけだが、3時間も観客を飽きさせない演出力はたいしたものである。これは映画館で見ねばならん映画だな。3時間もの映画、家ではとても集中力切れずに見るのは無理だと言うのもあるが、この渾身の力作はやはり最上の状態でいただきたい。それが作り手への礼儀であろう。

　実は私は幸か不幸かオリジナルを見ておらず、ストーリーもほとんど知らんかったので（洋画の古いのは本当に疎い）素直に後半の展開に胸を躍らせておった。いや全く素晴らしい。ピーター・ジャクソンは会社から「長すぎる」と「白痴」を撮った黒澤明が言われたようなことを言われたようだが、3時間8分で公開した。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズほど観客の心をつかめなかったせいか、興行的にはしんどかったようだが、ピーターの心意気を俺は買うね。

　非常に贅沢な時間を過ごさせてもらった。何より、ナオミ・ワッツが大変に美しい。名画が名画でありうる条件の一つはまず女優が綺麗に見えねばならない。必死に逃げ回る姿もステージに立った姿も共に美しい。確実にこれは彼女の代表作になるし、最も美しい姿をフィルムに残せたことは女優冥利に尽きるだろう。ナオミはもう若くない（38歳である）し、本当によかったと思う。ジャック・ブラックのアクの強い監督もハマリ役。ゴラムを演じたアンディ・サーキスもキングコングに加えて、くわえ煙草が似合うコック役と大活躍。