マルチュク青春通り

マルチュク青春通り 9/27 大津京町滋賀会館シネマホール
★★★★
→「ヨン様はもう古いわ。これからはクォン・サンウよ!」とベテラン韓流マダム(ヨン様ファンはベテランから言わせるとただのミーハーらしい。ヒヨコよ、ヒヨコ)が夢中のクォン・サンウの主演映画。映画秘宝の8月号の表紙がなぜかサンウだったので「いくら古澤に嫌がらせされてスターウォーズの写真を使えないからと言ってサンウはねえだろう。。」と思ってたが、どうやら内容はブルース・リーに憧れる高校生の話で実に秘宝的な映画であるらしい。見てえなあ。。と京都シネマやテアトル梅田に足を運んだが「おばさん、おばさん、おばさん、おばさん、ワシ、おばさん、おばさん。。」という状況はさすがになあ。。実際に「ひとまず走れ!」の時、そうだったのだ。もういいかな、と思いかけていたが70年代にブルース・リーの映画が如何にアジアの子どもたちに影響を与えたか、ということを描いた傑作であると聞いたので一番客が少ないと思われる滋賀会館で見てきた。案の定、ガラガラだった。見て思わずニヤリとしてしまった。内容は違うがストーリーの枠組みは「タクシードライバー」。鍛えあげた体で鏡を見てすごむシーンなんかそっくりでとても韓流マダムが喜んで見れるようなもんじゃなかった。「マルチュク青春通り」という題名と予告編を見てるととてもそんな映画とは思えんもん。「マルチュク通り残酷史」という原題がぴったり来る、男が見て喜ぶような過酷な男子高校を描いたバンカラもんなんである。もし配給会社が「青春とはつらく、理不尽な権力にボコボコにされるもんだ」と思っているんならけだし名タイトルだがそんなわけないもんな。韓流マダムに来てもらえばええと思うとるだけじゃ。

 舞台は1978年。世間のぼんくら高校生が死亡遊戯ごっこに明け暮れていた時代。ヒョンス(クォン・サンウ)の通うマルチュク商業とその周辺は悪に支配されていた。ベトナム帰りで暴力を振るうことに喜びを感じるサディストの兵隊、軍人の息子におべっかを使うことしか脳みそのないバカ校長、偏差値の低いものを人間扱いしない教師たち、(なぜか小林旭に似ているのと共産党市田にそっくりなのがいて笑った)そしてそんな教師の飼い犬として学校を支配する風紀委員(趙万豪にそっくり)。。通りの定食屋の後家さんは隙あらば高校生の童貞を奪おうとする。。ヒョンスはこの地獄のような町でディスコに行ったりとか友人と女を取り合ったりするのだが最後にはジークンドーの教訓本を取り、ドラゴンを目指す。中盤の女(かわいいがあんまり魅力がねえ)とデートするシーンはだるいが、後半からは展開が読みにくくて、ぞくぞくするほど面白い。特にラストの決闘のシーンはカメラも手ブレがひどくてリアルな喧嘩を映し出していた。アチョーとか言わないしな。エロ本を売りさばくハンバーガーのキャラもとってもリアルで本当にこんなのがいたんだろう。ただこの映画の白眉はこの中盤のデートが見事なクォンのアイドル映画になっていて韓流マダムでも楽しめるようにできているのだ。こうしたおばさまに対する配慮を忘れないところも韓国映画の懐の深さだろう。監督の言いたかったことは「韓国の高校はクソだ!」ということに違いない。心をぬかみそでもかき混ぜるようにかきまわされて、胸が熱くなった。私の通っていた高校はここまでひどくなかったが高校時代のことは二度と思い出したくない。

マルチュク青春通り

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マルチュク青春通り オリジナル・サウンドトラック

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