バス174

バス174 8/4 みなみ会館
★★★
→2000年6月にブラジルで起こったバスジャックの事件のドキュメンタリー。あんまり関係ないですが、ちょうど日本でもその一ヶ月ほど前にあのネオ麦茶が起こってました。この事件の特徴は地元警察がすぐに終わると軽く考えて現場封鎖をしなかったせいでテレビ局が入り込んで、あさま山荘陥落のようにテレビで事件の様子が同時中継が行われていたことだ。おかげで警察も強硬作が取れずに苦労して事件はどんどん長引いていった。ブラジルの視聴者はテレビに釘付けになり、この中継はこの年の最高視聴率をマークしたらしい。ドキュメンタリー監督のジョゼ・パジーリャは中継のフィルムに加えて、犯人の家族や関係者にインタビューをして映画を完成させた。映画の製作に入った時にはテレビ局から映像の使用権は得てなかったし、警察が警官に事件について語ることを禁じていたから神経を使う作業になったらしい。証言する警官はマスクかぶってたしな。。ブラジルの大きな社会問題の一つであるストリートチルドレンの現状について忌憚無く、描き出している。「シティ・オブ・ゴッド」がほぼ実話というのにも吃驚したが、ブラジルではこの問題が深い社会問題になっていることを知る。しかもブラジルは立派な先進国で経済規模も大きい。国民の半分が飢えているような発展途上国の話ではないのだ。社会学者の言う「彼らは無存在なのです。社会が彼らのことを見ないようにしている」という言葉に現職の警官を含んだ殺人集団が次々とストリートチルドレンを殺した事件にも世間はほとんど見て見ぬフリで犯人に保釈金のカンパが行われている現状が激しく胸を打つ。幼くして母親を殺された犯人が事件の直前に母親と同じくらいのおばさんと同居してたというのが印象に残った。社会問題にも興味ある人にはオススメ。作品自体は中盤に少し寝た。

シティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組) [DVD]

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風みたいな、ぼくの生命―ブラジルのストリート・チルドレン (PQブックス)

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