受取人不明

受取人不明 7/9 ホクテン座1 韓国映画セレクション2005
★★★★★
→「韓流」と言われる韓国映画ブームではあるが、はっきり言って玉石混合で面白い映画も多いがつまらない映画も多い。コメディは勢いがあって面白いのだが、同じような作品が多いので飽きてくるしね。そうした韓流という大きな流れから外れたところで悠々と泳いでいく映画監督たちがいる。「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク、「殺人の追憶」のボン・ジュノ、そして本作を撮ったキム・ギドクである。ギドクの映画は韓国国内でも評論家の評価が高いだけで興行成績もさっぱりであるらしい。しかし、海外での評価は高く、最新作の「サマリア」はベルリン国際映画祭の銀獅子賞を受賞している。海外の映画祭で評価を高めてマーケットを広げていくという手法は日本でも仙頭武則がよくやっているが、韓国では売れず屋さんであるギドクの映画のほとんどを日本で見ることができるのはやはり昨今の韓流ブームのおかげなんであろう。ギドクの映画は主題も暗いし、ストーリーも悪趣味など悲惨だ。しかしそれでも彼の映画に対する興味が無くなることはない。映画を見終わったあとに心に大きな大きな杭が残ってしまい、また彼の映画を見たくなるのだ。米軍基地のある寒村が舞台になっている。時代は1970年代で朝鮮戦争から20年が経過している。だが今でも戦争を引きずっている人たちがいる。彼らと基地のある村で育った若者達を描いた群像劇である。複雑にいり込んだ人間模様をスクリーンで描き出すテンポは軽やかであるがその展開は気持ちがまいってしまうほど暗い。でもその目をスクリーンから離すことはできない。それだけの力をこの映画は持っている。深作欣二の初期作品を見ているような気分になった。この人の映画はこれからも注目していきたい。

受取人不明 [DVD]

受取人不明 [DVD]