ビヨンドtheシー 夢見るように歌えば
ビヨンドtheシー 夢見るように歌えば 3/5 MOVIX京都シアター2
★★★★★
→今年は伝記映画が多かったがこれが一番よかった。ショービジネス界で大活躍した天才エンターティナーだったボビー・ダーリンの生涯を描いた映画である。ボビー・ダーリンのことは知らなかった私が感動したのはこれをケビン・スペイシーが自ら演じ、監督し、製作したということであった。ケビンはこの映画を10年以上前から準備し、歌うシーンも吹き替えなしで演じた。そこまで情熱をかけてこの映画を撮った理由、その理由を彼は映画の中で語っている。ラストで彼は「人生は終わってもその姿は人の心に残り続ける。エンターティナーはそういう素晴らしい商売なのだ」と自分の俳優としての自負とそして今もなお、人々の記憶の中で輝いている先人への憧れをそこで描いてみせる。そのシーンに胸を激しく打たれた。伝記映画というのは何か。その人の生涯をたどり、「この人はすごい」と観客に伝えることか。もちろん、それも大事ではあるがそれよりも先人から何を学ぶかということである。俳優であるケビンがなぜこの映画を監督したのか、そうした意気込みがまざまざと伝わってきた。それだけでも充分である。作品はもちろん素晴らしい。黄色のスーツを着て女をナンパするシーンは少々キツいものがあったが、ミュージカル風味にテンポよくストーリーを進めており、気持ちよく見られた。主人公の心の動きがきっちりと描かれており、飽きずに見ることができる。妻を演じたケイト・ボスワースやマネージャー役のジョン・グッドマンも花を添えている。ケビン・スペイシーファンはぜひ押さえておくべき作品です。
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